「刹那、早く行くんだ」
「嫌だっ、父さんも一緒に…」
私は敵の攻撃から刹那をかばいながら言う。
「大丈夫だ、必ずあとから行くから」
「でも…」
それでも刹那はすがりついてくる。
私は意を決して、刹那を別の地へと転送させる。
「父さんっ…」
「刹那、すまない…」
消えゆく姿を見送って、敵と向かい合う。
「ここは通さない、本気でゆくぞ」
ほぼ同時に仕掛けられた攻撃は、火花を散らして分散する。
「…誰にも傷つけさせたりはしない。守ってみせる…!」
渾身の力をこめた一撃。
そのあとどうなったのか覚えていなかった。

夢の中にいた。悲しくも美しい永遠の中。
何も変わる事のない時間の中。
そんな中、彼に出会った。
彼の存在は私を変えた。
本当に守りたいものを得る事が出来た。
そのために傷つく事すらいとわない。
その笑顔を、涙を、すべてを守りたい…。

気付いたときには刹那がそばにいた。
心配そうな顔で私をのぞきこんでいる。
「戻ってきたのか…」
「だって俺だけ逃げるなんて嫌だよ、父さんと一緒にいたいんだ…。
足手まといにしかならないのはわかってるけど…」
「刹那…」
私が少し困ったような顔をして笑ってみせると
刹那は不安げな表情を浮かべた。
「…おいで」
手を広げると、刹那は素直に腕の中に飛び込んできた。
「父さん…」
そのまま黙って刹那を抱きしめる。
確かなぬくもり。
その存在がただいとおしい。
それはたったひとつの生きる証し…。


ルシセツ切な系。(刹那…)
ハルマゲドン編パート2。
花葬のつづきだったりそうでなかったり。どっちやねん。
finaleの伏線です。
でも単独でも読めるのでご安心くださいな。
イメソンは「風の旋律」
ふしぎ遊戯…柳宿です。ラブ…。
2001.9.27 UP