人間界というのは実に不思議なもので。
魔界ではやらないことを普通にしたりする。
この日の計画を兄上から聞いた時は頭痛を覚えたものだ。
兄上はすっかり人間界になじんでいる。
それは弟、フェゴールも同様で。
私だけがいまだに少しなじめないでいる。
「ゼット兄さまー!こんなに採れたよ」
「ああ、すごいね。僕も大漁だよ」
2人はそんな会話を交わしながら笑っている。
私は手に持ったかごを見て少しため息をついた。
これでいいのだろうか。
時々思う、このままでよいのかと。
デビルチルドレン、甲斐刹那。大魔王ルシファーの息子。
彼が現れて兄上は変わった。
それがよかったのか悪かったのか、私にはわからない。
ただ、今までに見せなかったような顔を見せるようになった。
私やフェゴールがずっと出来なかったことを
彼はいとも簡単にやってのけた。
正直、悔しいと思った。
私たちは兄上の力になれなかったのだから。
ある日、兄上にそう言ったら困ったような顔をして笑った。
「僕はいつも2人に助けられてるよ」
その一言を聞いて、この選択は
間違ってはいなかったのかもしれないと思った。
「ベリト!」
不意に呼ばれて我にかえる。
振り向くとかご一杯のきのこを持った2人が立っていた。
「ほら、こんなに採れたんだよ。刹那たちの所に戻ろう」
「…そうですね」
私はふっと笑った。
2人の嬉しそうな顔を見るのは悪い気はしない。
そう思うとこの世界も少し好きになれそうな気がした。
色々考えたりもしたけど結局、私も兄上には弱いのだな。


真紅けろ太さんからのリク(800)
「タカジョー3兄弟のとある1日」
何故かしめじ狩りです。瀬戸は一度しか行った事ないんですが。
秋だし。(なんの関係が…)
この兄弟好きなんでもっとかっちえ〜のを
書きたかったのですが…しめじ。ゴメンゴ。
しかし、この兄弟でいちばんしっかりしてしてるのって
ベリトさんですよネ〜。
2001.10.15 UP