本当はもう会わないつもりだった。
彼といると調子が狂ってしまう。
嫌でもあの人を思い出してしまうから。
生まれ持ったこの強すぎる力のせいで
身内からも疎んじられていた僕を認めてくれた人。
彼はその人の息子で、名は刹那といった。
刹那は僕にとって理解しがたい人間だった。
お人好しで騙されやすくて…単純なんだと思う。
だけどどこかあの人に似ている。不思議な人間だ。
それとも半分人間だから故のことなんだろうか。
それならば僕に理解不能なのもうなずける。
僕には人間の心などないのだから。
いや、心というもの自体なかったのかもしれない。
あの人に会うまでは。そして刹那に会うまでは。
2人が僕の心の奥底に眠っていたものに揺さぶりをかける。
そしてあの人が感情を、刹那が心を呼び起こした。
そのとき僕は、初めて自分の弱さに気付いたんだ。
僕は初めて泣いた。まるで子供のように。
涙が止まらなかった。そして笑った。
これが心というものなんだと思った。
おぼろげに残る幼い頃の記憶。
誰かに認めてもらいたくて、必要とされたくて。
力を誇示することしか知らなかった自分。
それを強さと勘違いしていたどうしようもなく弱い自分。
そのすべてを受けとめて変わることが出来た今の僕。
いつか胸を張ってあの人にも会えるだろうか。
そして刹那に対するこの感情の正体もわかる日が来るのかな。
運命なんてものがあるとしたら何て名づけてくれるんだろう。
友情?それとも愛情?
はっきりと形になるまで内緒にしておこう。
まだまだ時間はあるんだから。
そして僕は今日も刹那に会いに行く。
きっと会わずにいられない。
蓬那さんのリク(200)
「出会ったばかりの刹那にルシ様の影を重ねる高城さん」
高城さんは黒かったり、弱かったり…タイヘン。
普段強い人が見せる弱さにドキドキです。
なんか…イイ…ってカンジ(変態っぽい)
イメソンはglobeの「Wanderin' Destiny」
2001.9.1 UP