どれだけ歩いただろう。もうあの風景は見えない。
ほんの少しの間過ごしただけの、だけど懐かしい風景。
もう見えない。戻れない…。
これ以上あの人のそばにいたら自分が壊れてしまう。
あの人も壊してしまう…。
それじゃ駄目なんだ。そんな事望んじゃいないのに…。
だから少しでもあの人のそばから離れなきゃいけない。
自分の中の何かがそう警告しているから。
それが誰にとっても一番よい結果だっていっているから。
だから…このまま消えてしまおう。
あの人がこれ以上苦しまないように。
だけど…どうしてこんなに苦しいんだろう。
ちゃんと理解して、考えて出した答えなのに。
ここまであの人の声が聞こえてくるようで。
そんなはずないのにあの人がすぐ近くにいるようで…。
そばにいたい、出来ることならずっと…。
だけど…それは許されないことで。
素直に父親として見れていたときはよかったんだ…。
だけど今はもう…。
こんなに苦しくて、でも忘れることも出来なくて。
そんな中途半端な想いを抱えながら俺はこれからも生きてゆくのだろう。
それが俺の罪。実の父親に対して一線を越えた感情を持ってしまったが故の罪。
一生届かない想いでもいい。
ただ、忘れないで欲しい。俺という人間がいたこと。
ただひとつだけ望むから…。ただひとつだけ。
あの声を、力強い腕を、優しい眼差しを…、
この風景をずっと忘れない。
うえむら会長からのリク(6000)
やっぱりというとなんというか、ルシセツ。
イメソンはCoccoの「水鏡」
だんだん佳境に入ってきたルシセツ小説。
つーかキリリクではいってどうする。