人の夢と書いて「儚い」と読むという。
それはまさに今のこの現状。
この箱庭のような現実を変えるために何が出来るというのか。
だけどそんな中でも諦めずに進み続ける人がいる。
それは残されたただひとつの希望…。

「ゼット!!」
「…刹那?」
「教えろよ、ここは一体何なんだ!?」
「ディープホールさ…。もっとも前に君が来た時とは随分変わってしまったけどね」
「どうなってるんだ?これじゃまるで…」
「混沌…ひたすらそれを望んでる奴がいる」
「何だって…?」
「それが誰なのかは君にもわかるはずだよ、刹那?」
「…お前は奴の仲間なのか…?」
「僕は誰の命令も受けない。誰にも屈しない。ただひとりをのぞいてね」
「…父さんか?」
ゼットは答えずにただ笑い返した。
「さあ、それより他にやることがあるだろう?」
「…そうだ、こんな所で立ち止まっていられないんだ…!!」
「そうそう」
「お前はどうするんだ?」
「もう少し君についてゆくよ。自分のフィールドで好き勝手やられてるのも面白くないしね」
「そうか」
「道案内は僕がするよ。この中は僕のが詳しいからね」
「ああ、頼む」
「…刹那、ひとつきいてもいいかい?」
「何だよ」
「強さって何だと思う?」
「はあ、何だよ突然」
「力を持つこと?それとも自分を貫くこと?」
「…両方そうかもしれないけど、俺は違うな」
「…?」
「俺の求める強さってのは守るべきものを守ることだ」
「…君らしいね」
「馬鹿にしてるのか?」
「褒めてるんだよ。僕も…僕であり続けたい」
「ゼット…?」
彼は強い。僕も彼のように強くあれたら何かを変えられるだろうか。
今からでも変われるのだろうか…。
ただ今は…遠い昔どこから来て、遠い未来どこへ行くのか、見届けてみたいと思う。
そこに僕の目指す答えもきっとあるはずだから…。

僕は、僕のことが知りたい…。


るうとさんからのリク(5555) タカセツ小説です。
えらいまたなんか〜な話でスミマセン。
イメソンは坂本真綾さんの「ヘミソフィア」です。
某アニメの主題歌なのですが(またか)聴いたとき、
何かタカセツっぽいなあ〜と思ったので借用。