終わりを告げたのは俺の方だった。かなうはずのない想い。
まるで深い森に迷い込んだように果てしなく続く迷宮。
ただそこから抜け出したかっただけなのかもしれない。
複雑に絡み合った糸を一本一本解きながら俺はその手を離した。
結局、住む世界が違ったのだと自分に言い聞かせながら。
あの人を、自分を守るために。
もし俺がもう少し大人だったら、男じゃなかったら、
…子供じゃなかったら?
何もかも上手くいったのだろうか。
今でも一緒にいることが出来ただろうか。
せめてあの人くらいの強さがあったなら…。
いや、あの人は強くなんてなかった。
本当はとても脆くて、不器用な人だったんだ。
予想していた人とは違ってて最初は驚いたな。
でも、そんな人だからこそ一緒にいたいと思ったんだ。
だけどもう限界だった。
つらそうに俺を見るあの人をこれ以上見てられなかった。
どんどん膨らむ自分の気持ちももう、蓋を出来なくなっていた。
好きな人のそばにいられればそれだけで幸せだと思っていたのに。
こんなにつらいなんて知らなかった。
二人の道がこの先交わることがあるのかどうか、それは誰にも分からない。
腕を引かれて連れ戻されるのか、背中を押されるのか…わからない。
こんな想いをするくらいならいっそ憎んで忘れられたらいいのに。
忘れてくれたらいいのに…それも出来なくて。
俺があの人に乞うのは許しじゃない。
ただひとつの真実。本当の言葉が聞きたくて。
祈りも誓いも何だって捧げるから…。
同じ永遠を望むなら…同じ未来が見えるなら…。
願うのはただひとつ。
一度だけでいい。抱きしめて、欲しい…。


会長からのリク(5121)
「ルシセツ小説」です。
なんだか今書いてる長編とかぶってしまってダメダメです…。
せ…せつなー!! ひさびさにせつなモードですヨ。(ひさびさ…?)
イメソンはCoccoの「樹海の糸」です。せつなー。(もういいって)
大好きです、ルシセツ。どんなに異端でも!!おう。
2002.2.21 UP