「お父さん、私たちが来るまでこの部屋から出ちゃだめよ?」
未来と刹那にそう言われてから3時間は経つ。
ルシファーは邸の執務室に閉じ込められ、ずっと本を読んでいたが
この部屋に見張り役として一緒にいたクールに、
「今日は一体どうしたというのだ?ここ2、3日前から
二人ともそわそわしていたかと思えば、今日の朝突然この部屋から出るなとは。
クール、二人から何か聞いてはいまいか?」
そう尋ねたのだが、クールは浮かない表情のルシファーをチラッと一瞥し、一言だけ
「・・・さぁ?俺はただ刹那と未来からあんたをこの部屋から出すなと言われただけだ」
そう言ってつまらなそうに鼻をならした。
これ以上尋ねても期待する答えが返って来ないと判断したのか、
ルシファーは話を打ち切り、軽く溜息をついた。そして静かに席を立ち
外の風景を見ようとしたところ、それまで退屈そうにしていたクールが立ち上がり、
「・・・!!駄目だ、庭の方を見せるなと刹那が・・・」
「・・・?何故だ、お前たちは一体何を隠しているのだ?」
クールがごもごもと口ごもった時、刹那が部屋に入ってきて、
「お待たせ、父さん。庭の広場まで一緒に来てくれるかな?未来も待ってるから」
刹那は急かすようにルシファーの腕をひいた。
刹那に引っ張られ、訳が分からず一体何があるのかと聞いてみたのだが
いいから、いいからとしか刹那は答えない。でもその表情は
何かを企んでいる子供のように生き生きとしている。


広場まで来ると未来の姿が見えた。その後ろにはテーブルがあり、
数々の料理が並べられていた。
「未来、この料理は・・・?今日は一体何が・・・」
ルシファーがそう言いかけた所で未来が
「やだ、今日は父の日なのよ。知らなかったの?お父さん」
そう言って困ったように眉をひそめた。首を傾げるルシファーに
「何かあげようかと思ったんだけど、いいのが思いつかなくて。それだったら
二人でごちそうを作る事にしたの、お父さんの為に。今日はね、
大好きなお父さんのに感謝する日なのよ」
未来は小首を傾げてふふっと笑ってみせた。
ルシファーは嬉しそうに笑う二人を見てとても幸せな気持ちになった。
自分が父親である事を明かしてまだそう日数は経っていない、
でも二人は自分の事を父親として見てくれて、感謝のしるしと料理を作ってくれた。

・・・その事がとても嬉しかった・・・。

ルシファーは二人を優しく抱きしめた。
「私は・・・お前たちのような優しい子供をもってとても誇りに思うよ・・・」
静かな口調だが、思いに満ち溢れた父の言葉に二人は胸が熱くなり、
そっとルシファーにすがりついた。
「さぁ、早い時間から二人が一生懸命に作ってくれた料理を頂こうか」
魔界の王としてではなく、一人の父親としての穏やかな表情でルシファーはそう言った。

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