上飯田線開業と、名鉄の吊り掛け電車
2003年3月27日、上飯田〜平安通間に「地下鉄上飯田線」が開業した。
名鉄小牧線の上飯田駅から、名古屋市営地下鉄名城線の平安通駅までの間は、
長年、徒歩かバス連絡となっていた区間だった。
名古屋市中心部に向かう路線でありながら、鉄道の不連続部分があり、地元からも
解消の声が上がった事から、第3セクターによる地下鉄、上飯田連絡線の建設が始
まり、2003年春に開業となったのだ。
1日目 3300系お別れ乗車
3月26日5時44分、岐阜で、品川発快速大垣行きから降りる。
廃車が言われている165系を中心とした夜行快速で、これがお別れ乗車のつもりだ
った。
JRの岐阜駅から、名鉄の新岐阜駅までは歩いて5分程の所だ。新岐阜駅で、近畿
日本ツーリストで買った「2dayフリーきっぷ」を引き換えてもらい、美濃町線始発電車
の6時ちょうど発下芥見行きに乗る。この下芥見行きは、唯一現役で走っている600
形電車だった。
1+2の転換クロスシートが並ぶ車内には、マニア風の人1人(自分を除いて)と、数
人の乗客しかいなかった。
美濃町線は、岐阜市内線の徹明町から関までを結ぶ路線で、新岐阜からの場合は
各務原線(新岐阜〜田神)と田神線(田神〜競輪場前)を経由する事となる。
田神では、背の高い各務原線用ホームを通過して、田神・美濃町線用ホームに停車
乗降りも無く、田神を出発。各務原線と分かれ、架線電圧も1500Vから600Vに切り
替わる。
600V区間の車輌を管理する、「岐阜工場」のある市ノ坪に停車、この先は、同時刻
で運転される関行きの電車がいる為、乗客はいなかった。
田神から単線となり、市ノ坪からは併用軌道となる。美濃町線との接続駅競輪場前
では、先行する関行きと、後を追っかけてくる事になる徹明町始発の野一色行きが見
えた。
3列車続行運転で北一色を通ると、専用軌道に入り、野一色駅に着く。
野一色で、関行きへの乗換え時間があり、下芥見行きの車内はガラガラに(最初から
だが)なってしまった。せっかく乗った「モ600」なので、自分は下芥見まで乗っていく
ことにした。
先行する関行き、880形電車を追っかけ、野一色を出発する。
専用軌道とは言う物の、車道の脇を走っている為、交差点などで自動車用信号による
信号待ちがある。2つ先の日野橋駅に着く頃には、関行きの姿はなかった。
岩田坂、岩田と通り、下芥見に到着。このまま新岐阜に折り返す為、10分程の待ち時
間があった。
その間に駅舎などを撮っていると、車や自転車で学生が駅にやって来る。
折り返しの新岐阜行きは、ほとんどが学生で、立席も少し出るくらいの混雑だった。
往きと同じルートで新岐阜まで戻る。新岐阜には7時10分頃に到着した。
電車に乗っていた学生軍団は、岐阜市内線に乗換えたのか、市内線の電停が学生で
埋め尽くされていた。
次の列車まで時間があったので、マクドナルドで朝マックとなった。
今度は、8時05分の急行常滑行きに乗るのだが、ここで1つミスをしていた。
目当ての犬山8時34分発の明智行きに乗るのに、急行碧南行きの犬山到着時刻は8
時35分。どうしても乗り継ぐ事は出来ないのだ。単純な話で、時刻表を読み違えていて
新鵜沼を犬山と勘違いしてたのだ。
しかも、1本前の普通碧南行き(犬山8時27分着)を見送ってたのだから情けない。
しょうがないので、急行で犬山に着くと、特急新可児行きに乗換える。
350円の特別車料金を払い、1番前の展望席に陣取る。犬山〜新可児間15分程の前
面展望を楽しんだ。
8時58分新可児に到着。9時ちょうど発の明智行きになんとか間に合った。
なぜ、この明智行きにこだわるかと言うと、数少ない吊り掛け駆動の3300系が使われ
ているからだ。
旧型AL車3900系を元に、車体更新で出来た車輌で、瀬戸線を走る6750系と同じ珍
しい存在、しかも、今回のダイヤ改正で全車廃車となる事が決まっているからだ。
9時発の明智行きで終点まで、途中、学校前という小さい駅に停まった。
明智で折り返しを待っていると、御嵩から5500系がやって来た。
5500系も、今は2両編成3本しか残ってなく、珍しい電車2本が並ぶ事となった。
折り返し犬山行きで、新可児に戻る。ここで、犬山発新可児止まりの電車と並ぶのを撮
り、同じ電車に乗り込む。次の日本ライン今渡駅で降り、新可児方でカメラを構え、9時
34分発の電車を待つ。
2分前に新可児行きがほぼ定刻で発車、練習がてら撮っておいて、時間通りに3300
系がやって来た。写真を撮ると、急いで乗り場まで走る。写真を撮っていたのが、新可
児行きホームなので、大急ぎで地下通路を渡り、ギリギリ間に合った。
犬山に戻ると、すぐに3300系は新可児へ折り返して行ってしまった。
しばらく、犬山駅にやって来る列車を撮って、時間を潰す。すると、明智で出会った55
00系が戻ってきた。到着後すぐに系統板が返され、回送になってしまった。
赤一色の電車の中で、唯一銀色の電車が発着していた小牧線。その小牧線、上飯田
行きとして、3300系がやって来た。10時36分発の電車だ。
水曜日の為か、あまり混む気配が無かった。去年の夏にあった、3400系「いもむし」
のさよなら運転の時とは、人の出方が大違いだった。
10時36分発上飯田行きに、味美まで乗ってゆく。小牧線は一部単線で、味美駅は複
線区間にあり、上飯田側で最初の交換駅だ。時刻表上では、2列車が並ぶことになっ
ていた。
味美に着くと、やはり同じ事を考えている人がいたらしく、5人程、マニアらしい人がいた。
20分の待ち時間の間に、駅前を歩いてみようと改札に向かうが、駅員がいなかった。
自動改札だけの「遠隔管理駅」だったのだ。磁気券になってない切符なので、自動改
札は使えない。インターホンで係員を呼び出してみるが応答が無い。少し凶悪な事を考
えながら、駅前探索を諦めることにした
名古屋空港が近い為、航空機が超低空で飛んでくる。駅の跨線橋から、着陸していくの
が見えるほどだ。
そんなのを見ながらボ〜っとしていると時間になっていた。
犬山方でカメラを構えていると、先に上飯田行きがやって来た。犬山行きの姿は無い。
上飯田行きが発車すると、そこにちょうど犬山行きが!犬山方ではなく、上飯田方でのす
れ違いとなった。
惜しくもチャンスを逃し、43分の上飯田行きで上飯田に向かう。
工事中の新「味鋺駅」を過ぎたところに、仮設の味鋺駅があった。単線の線路にホーム1
本のシンプルな駅。その横には、試運転が行われている上飯田連絡線のトンネルが口を
開けていた。
上飯田駅は、1階が商店、2階が改札とホームで、その上は住宅という、ちょっと変わった
感じのする駅だ。
上飯田駅から味鋺方向に歩いていき、矢田川の河川敷に出る。ここで橋を渡ってくる330
0系と、新型の300系を撮った。
河川敷には多くのファンと思われる人達がいて、近くを通る人は、不思議そうな顔で通り過
ぎていた。
12時08分着と、28分着の折り返しを撮ると、上飯田駅まで戻り、そのままJR大曽根駅ま
で歩いた。
大曽根から中央線で名古屋に出て、立ち食いのきしめんを食べて大曽根に戻るという、何
とも不毛な事をして、大曽根からはバスで上飯田駅に戻る。
15時18分上飯田発普通犬山行きが、3300系の最後の運行となる。
上飯田駅で到着を待ち、座席を確保。さよなら電車の発車式があったようだったが、見には
いかなかった。
さよなら電車は、さすがに最後だけあってそれなりに混んでいた。しかし、3両という収容力
の大きさか、人出が少ないのか、「いもむし」の時とは違い、すし詰めになることはなかった。
犬山には15時45分に到着。3300系を見送った後、のんびりと名古屋まで戻った。
名古屋駅で少し時間を潰し、17時20分の特別快速浜松行きで一旦自宅へ戻る。今回の
宿を取ってなかった為、上飯田から大曽根まで歩く間に、宿に電話してみたのだが、生憎
満室との事で、断られてしまった。野宿はしたくなかったので無料の宿、つまり、自宅まで
戻る事となった。
東海道線と相模線を乗り継ぎ、自宅に戻ったのは0時20分頃だった。
2日目 地下鉄上飯田線初乗車!
帰宅後すぐに風呂に入り、眠りに就いたのは1時過ぎだった。
帰りの東海道線の中では、初電で名古屋に戻ろうと考えていたのだが、起きた時にはすで
に8時を回っていた。
家族と朝食を取り、9時前には自宅を出る。
稲田堤から南武線で川崎に出る。10時02分発の沼津行きに乗り、終点の沼津まで乗車。
途中、熱海での9分停車の間に駅弁を買い、丹那トンネル通過中に昼食となった。
沼津で12時14分発浜松行きに乗換え、211系の先頭に陣取り、前面展望を楽しむ。
13時08分静岡着、浜松行きは12分の停車なのだが、1分接続で豊橋行きが同じホーム
から出るので、そちらに乗換える。元新快速用の311系だった。
豊橋には14時59分着、昨日の切符が残っているので、ここで名鉄に乗換える為、新幹線
と反対側にある飯田線ホームへ、豊橋〜平井信号所間は名鉄と飯田線の共用区間となっ
ていて、飯田線が1・2番線、名鉄が3番線を使用している。
3番線に降りると、名鉄の看板列車「パノラマsuper」が待っていた。15時02分発の列車だ
この15時02分発特急新岐阜行きに乗って、とりあえず金山を目指す。
さて、名鉄の特急にはJRで言うところの指定席に当たる特別車と、自由席に当たる一般車
の2種類の車輌があり、一般車であれば特急料金を払わずに乗ることが出来る。特別車の
場合は、μチケットと呼ばれる特急券(全区間350円)を買わないと乗れないシステムだ。
一般車が連結されてるのは名古屋本線の特急と犬山線の一部の特急で、支線へ乗り入れ
る特急は、全て特別車で編成されている。因みに、1日目に新可児まで乗った特急は、全車
特別車の特急なので350円を支払ってるが、豊橋から乗った新岐阜行きの特急は、一部特
別車の特急で、一般車を利用している為、特別料金は払ってない。
15時02分、東海道線の大垣行き快速と同時に豊橋を出発。飯田線の2つの駅を通過し、平
井信号所で飯田線と分かれる。時速120kmの全力疾走で走って行く。豊橋〜名古屋間は
名鉄、JRの競合区間で、お互い時速120km運転を行っている。所要時間は線形の良いJR
の方に軍配が上がるが、運賃は名鉄の方が安くなっている。
東岡崎、知立、神宮前と停まると、次がとりあえずの目的地だった金山だ。
豊橋から、約45分で金山に到着。列車が出発した1分ほど後に、JRの快速大垣行きが金山
に到着していた。
金山から大曽根周りを考えていたが、新名古屋からバスで小牧に出る方法に変更する事にし
た。急行で新名古屋まで出て、メルサ内にある名鉄バスセンターへ、16時15分発特急小牧
行きバスに乗る。特急小牧行きは観光タイプのバスで、名古屋高速を通り、小牧駅に向かう
路線を走る。側面には小牧駅⇔名鉄バスセンターのマークも入っていて、どうも専用車らしい。
十数人の乗客を乗せて、名鉄バスセンターを出発。バスセンターを出てすぐに、大渋滞に巻き
込まれてしまった。
途中、自分の地元を走っている京王バスの高速車を見つけた。名古屋〜新宿線の車輌だと思
うのだが、時間などを考えると疑問の残る場所だった。
さすが、車社会名古屋と思ってしまうほど、車の海とでも言えそうなほどの車列だ。
超が付くほどのスローペースで栄(オアシス21)へ、地下鉄で1駅のところに30分近い時間が
かかっていた。小牧駅に着いたのは、名鉄バスセンターを出て、約1時間後の事だった。
小牧駅から名鉄小牧線17時18分発平安通行きに乗って、上飯田線の平安通駅へ。やって
来た電車は名鉄所有の300系電車だ。上飯田方で電車を待って、入線してくるところを写真に
撮る。そのあとやる事といえば、かぶりつきなのだが、偏向フィルムが貼ってあるせいで、あまり
良く見ることができなかった・・・(TT)
今日から、名鉄300系と名市交7000系で運転される小牧線の電車はワンマン運転となってい
て駅に到着すると運転室のモニターで乗降を確認、ドアの開閉を行っていた。
新駅に切り替えられた味鋺駅から地下区間に入る。保安装置もATSからATCに切り替わり、昨
日まで使われていた旧味鋺駅を左に見ながらトンネルに入った。
複線のトンネルで2本の川を潜り抜け、上飯田駅に着く。ホームドアの付いた地下駅だ。
上飯田駅は、名鉄と市営地下鉄の境界駅で、管理は従来どおり名鉄が行っている。ここで乗務
員は名鉄から市営へと代わり、終点の平安通までの1駅間を走る。
平安通駅も、上飯田駅のような、胸位の高さのホームドアに囲まれた島式の駅だ。
一旦、駅を出るのに階段を上がっていくと、名城線との連絡通路の途中で、上飯田線開業記念
の「ユリカ」を販売していた。記念に1枚購入して、名城線ホームを見た後、改札で一旦清算。
名鉄2dayフリーなので、市営地下鉄は区間外。その為、以前、栄駅で購入したユリカで清算を
して再び乗車、今度は上飯田駅で途中下車となった。
ユリカで乗った為、カードが使えなくなるのを防ぐ意味もあったが、旧駅舎がどうなっているのか
気になったので行ってみると、フェンスで囲まれた改札口に駅移転を告げる看板が1枚、ぽつん
と立っているだけで、上飯田駅の看板などは撤去されていた。
上飯田駅で、しばらく名市交7000系が来ないかと思い待っていたが、結局来る事は無く、後日
朝・夕のラッシュ時に運行されるだけだという事が判明した。
目的の上飯田線も乗り、7000系も走ってないようだという事が分かり、名駅まで引き上げるの
に、地下鉄を使わず、犬山経由という何ともひねくれたルートで名古屋を目指す。
上飯田19時発の犬山行きに乗り、犬山で19時40分の急行に乗換え、名古屋には20時15分
着だった。夕食を食べてないので、名古屋駅地下街のテルミナからエスカに行く間にどこか食べ
るところがあるだろうと思っていたのだが、ほとんどが20時〜20時半の間で閉まっていた。
仕方が無く、名古屋駅通路を歩いていると、「驛麺通り」というラーメン屋の集まった所を見つけた。
札幌・東京・博多等、ご当地ラーメンを集めたという感じのところだった。ご当地といえば、肝心の
名古屋ラーメンはというと・・・、100杯限定という事で、すでに売り切れていた(当たり前か(^^;)
博多ラーメンの店に入って、普通の硬さのと、替え玉でちょっと硬めのを食べた。
帰りは、18きっぷの無駄遣いと不要な出費を抑える為、日付が変わってから最初に停車する乗
換駅、刈谷まで名鉄で行く事にした。
とりあえず、21時51分の新岐阜行き特急で新岐阜まで、新岐阜駅で22時34分発国府行き一
部特別車特急の特別車、1列目を指定して切符を購入、前面展望を楽しもうと乗ってみると、車内
はガラガラだった。
新名古屋で一気に特別車も一般車も満席。金山、神宮前と停まり、次の知立で三河線の最終電
車に乗換えだった。
三河線最終の碧南行きに乗って発車を待っていると、回送列車の通過の案内放送が流れた。
何が来るのか気になり、名古屋方向を見ていると、1つ目のヘッドライトが向かってきていた。
電気機関車デキ600形2両が通過して行き、このルートを選んで得した気分になれた。(^^)
知立23時32分発の碧南行き最終電車に乗って刈谷へ、2駅5分程で到着した。
刈谷からは、臨時の東京行きに乗ろうと思ってJRの改札に行ってみると、臨時列車の発車時刻
が案内板に表示されていなかった。
駅員に確認したところ、運転日である事は間違いないらしく、発車案内板のプログラムの問題らし
い。
コンビニで夜食を買って、刈谷駅のホームへ、東京行き「ムーンライトながら」の車掌にも臨時が運
転されているか聞いてみると、運転されているとの答えだった。
ムーンライトが出てった5分後、列車の到着案内が流れた。0時03分発の快速東京行きだ。
165・167系で組まれた臨時列車はほぼ満席で、辛うじて席にありつく事ができた。
この列車が、165・167系の本当のお別れ乗車となり、終点の東京まで乗車した。