キリン
Giraffe(Giraffe camelopardalis)
哺乳綱偶蹄目キリン科。頭胴長3.6〜4.8m、頭頂高4.8〜5.5m、肩高2.5〜3.7m、尾長1〜1.3m(これに更に1m前後の房毛が生じる)、体重0.6〜1.9t。アフリカ(エティオピアからスーダン、ケニア、ウガンダ、タンザニアにかけて)の草原地帯に棲息。現世の四足歩行する脊椎動物では最も背が高い動物。この背の高さを利用して、他の動物には食べる事の出来ない高い位置の植物を餌として利用できる他、長い脚から生み出されるキック力は捕食者を簡単に撃退し、同時に彼等の逃げ足を早めるのに役立っている。頭のツノは「オシコーン」と呼ばれる独特のモノで、骨の鞘に皮膚が被さって形成されている。雌雄共に1対2本ある他、老齢のオスでは更に額や後頭部に第3、第4、第5のオシコーンが形成される。独特の網目模様を持ち、その形状の差異から3〜10数種類の亜種に分類される。
また、それらの特異な外見の他、高低差4m以上の世界で血行障害を起こさないように、

※脳のすぐ傍に「奇驚網」と呼ばれる特殊な血管を持つ

※鬱血しないように四肢の皮膚が硬質化し、脚の軟組織が血液で膨張しないようになっている

※血管そのものが弾力性に富み急な血流にも耐え得る

…等、特殊な進化が目立つ。
開けた土地に小規模の母系集団で暮らし、アカシアなどの高木の葉を好んで食べる。摂食の際、45cmもある長い舌と粘性に富む唾液で、アカシア特有の鋭い棘を包み込んで無効化して口に運ぶ。繁殖期にはオス同志で頸部を激しくぶつけ合う、所謂「ネッキング」で優劣を競う。その特異な姿から、動物園ではゾウや猛獣に並んで最も人気の高い動物の一つ。
尚、「キリン」の和名は、中国の有名な幻想動物「麒麟」に姿が似ている所から、我が国では明治時代に一般化したと言われる。因みに「麒麟」の本場中国ではキリンの事を「長頸鹿」(ちょうけいろく、中国語ではチャン・チー・ルゥ)と呼ぶ。