ビクーニャ
Vicuna (Vicugna vicugna)

哺乳綱偶蹄目ラクダ科。頭胴長1.45〜1.65m、肩高76〜86cm、尾長15cm前後、体重35〜60kg。南アメリカ(アンデス山脈付近)に棲息する、瘤の無いラクダ(アメリカラクダ)の仲間。ラクダの仲間では一番小さな種で、身体の大きさはニホンジカとほぼ同じくらい。シナモン色の体色とほっそりした優美な肢体、齧歯類のそれのような伸び続ける門歯、高山地帯の薄い空気に対応した大きな心臓(同じ体重の哺乳類に比べ50%も大きい)を持つ。高山帯の藪や草原に一夫多妻型の小さな群れで暮らし、高山帯特有の植物を食べる。胸に生える長毛は木目が細かく柔らかい為、嘗てはインカ・アステカの人々によって毛織物の材料として珍重され、後にこの毛を狙ったスペイン人の乱獲によって大幅に個体数が激減した。現在は国際的な保護を受けているが、個体数は以前僅少のままである。
因みに、ビクーニャを家畜改良した役畜がアルパカである。体長2m、肩高95cm、体重50〜55sと原種のビクーニャよりもやや大きくなる。最大で60cmになる柔らかい被毛を有し、アンデスに措いてはヒツジの代わりに毛用畜として珍重される(形態については下図参照。尚、毛色には図示した黒の他に白、褐色などがある)。

アルパカ 
Alpaca(Vicugna pacos)