ホッキョクグマ
Poler Bear (Ursus maritimus)

愛知県・豊橋市総合動植物公園へ出向いた時の事。

かの動物園では、ホッキョクグマの為に特別な飼育ゾーンを設けている。
一部をガラス張りにしたプールを設け、その部分を観覧ゾーンとしているのだ。
泳ぎが達者なホッキョクグマの遊泳シーンをお客様によく観察して貰おうという試みである。

一定の時間になると、飼育係さんがバケツにアジをいっぱい入れて持ってくる。
ちょっとしたおやつ代わりだ。
合図と共にアジがプールに撒かれると、それを狙って
ホッキョクグマが豪快なダイヴィングを見せてくれる。

その日も、大勢のお客の前でホッキョクグマのダイヴィングが行われていた。
インスタントカメラを構え、写真に収めようとしたその時。

何を思ってか…一頭のホッキョクグマがガラス越しに私に向かって突進してきた。

豪快な水の音。
歓声と共に後ずさるお客。
しかし、私の手は律儀にもアタックの瞬間をバッチリとフィルムに収めていた。

手元が震えた為、少々ブレてしまってはいる物の、
その時の「決定的瞬間」を収めた写真は、今でも私の実家に眠っている。
<データ>

*分類*
哺乳綱 食肉目 クマ科
*分布*
北極圏
*大きさ*
頭胴長2〜2.9m、尾長10p前後、体重300〜400kg(最高700sの記録あり)
*食性*
ほぼ完全な肉食。主食はアザラシ類。
大型の魚やセイウチの子供、稀にはイルカまで襲う事も。
*備考*
現存する陸上性の肉食動物では最大級の動物。
一般にはそのクリーム色がかった白い被毛から「シロクマ」の名称で御馴染み。
クマ類としてはややスマートな体型で、耳などの突出部が小さい頭部と長い頸部、良く広がる足指を持つ。
名前の由来ともなっているその体毛には色素が全く存在せず、日光が透けるので白く見える。
また皮膚が黒っぽく、前述の透明の毛が日光をそのまま皮膚まで通す為僅かな太陽熱をも吸収し易く、寒さに強い。
その他にも体脂肪が厚く、足の裏にも毛が生えて防寒の役割を果たす等、極地への適応が著しい。
泳ぎも達者で、時には流氷に乗って大規模な移動を行う事もある。
寒冷な地域に棲む為冬眠しないが、子供を孕んだメスだけは一時的な巣穴を設け、其処に篭って出産する。