シロイルカ
Beluga (Delphinapterus leucas)
シロイルカの事を、一部の海洋生物学者達は
「海のカナリア」と呼ぶ。
イルカやクジラの類は、「クリック音」と呼ばれる一種の鳴音を使って、
仲間同士でコミュニケーションを図ったり、餌の位置を特定したりする。
人間で言う所処の鼻の孔(呼吸孔)から空気を出し入れして立てる音で、
何かに当たって反響した音波はイルカやクジラの下顎骨を通じて内耳に届くようになっていると言う。
中でもシロイルカは、実に60種類以上のクリック音を使い分けると言われ、
その中には人間の耳にも聞き取る事の出来る音域のものも少なくない。
高く澄んだそのクリック音は、愛らしい顔つきと相俟って、
まこと「海のカナリア」の異称に相応しいものである。
彼等は北方の海に数百頭にも及ぶ大群で暮らしている。
それほどの群れで暮らすともなれば、個体間の交流手段も
勢い多様化せざるを得ない状況となるのだろう。
最近、クジラのクリック音を編集したCDが販売されていると聞く。
詳しくは知らないが、ひょっとしたらシロイルカのCDも在るのかも知れない。
個体間の交流手段を人間達がCDにして聞いていると知ったら、
シロイルカ達はどう思うのだろうか。
ちょっと興味がある。
<データ>
*分類*
哺乳綱 鯨目 イッカク科
*分布*
北極海とその周辺の沿岸・河口地域
*大きさ*
全長4〜6m、体重220〜670s
*食性*
魚食性。各種の小型魚類の他、甲殻類や軟体生物等も捕食する。そのメニューは実に50〜100種類。
歯の発達が悪い為、獲物はスポイト状に窄めた口で吸い込み、丸呑みにする。
*備考*
極北の海洋に棲息する純白のイルカ。
よく動く頚部とぷよぷよした額、イチョウの葉型の尾鰭が特徴。
10頭前後の家族群が幾つかまとまった大きな群れで沿岸地域を回遊して暮らし、
一名を「北海の放浪者」とも言う。
厳しい冬は沖合いで過ごし、子育ての時期には河口付近で暮らす事が判明している。
稀にだが、大河のかなり上流まで遡上する事もある。
非常に柔軟な体の持ち主で、かなり水深の浅い場所でも巧みに泳ぎ回って摂食行動をとる。