サンコウチョウ
Paradise Flycatcher (Terpsiphone atrocaudata)

鳴禽類(スズメの仲間)には、
比類なき美声で鳴く鳥が少なくない。

そして、そうした鳴禽類の鳴き声にオノマトペを与える行為を、
日本では「聴き為し」と言う。
ウグイスの「ホーホケキョ」(宝法華経)とか、
ホオジロの「イッピツケイジョウツカマツリソーロー」(一筆啓上仕り候)など、
これらは皆「聴き為し」による読み方である。

此処に紹介する鳴禽類・サンコウチョウも美しい声でさえずる事で知られている。
彼等の鳴き声は「ツキヒホシ ホイホイホイ」と聴き為される。
漢字表記すると「月・日・星」である。
サンコウチョウ(三光鳥)と言う美しい名はこの聴き為しに因むモノだ。

美しく愛らしい姿とも相俟って、サンコウチョウは鳴禽類の中でも
割と名が知られている種類である。
因みに彼等の美しい姿は、静岡県・磐田郡のサッカーチーム
「ジュビロ磐田」のマスコットとしても知られている。
<データ>

*分類*
鳥綱 燕雀目 カササギヒタキ科
*分布*
日本(本州以南)の森林地帯に夏鳥として飛来。
冬になると東南アジアに渡って越冬する。
*大きさ*
全長20〜25cm(但しオスは更に30〜35pになる壮麗な長い尾羽を持つ)、体重19〜29g
*食性*
昆虫食。飛ぶ昆虫、特にトンボやチョウをよく捕らえる。
*備考*
壮麗な姿をした鳴禽類(スズメの仲間)。
日本では初夏から晩秋にかけて本州以南で見られる夏鳥。主に低山帯の林の中に棲む。
低く小さな冠羽、短い嘴、青み掛かった黒い頭部、明るい水色のアイリングを持ち、
オスは体に対して非常に長い尾羽と光沢のある青みがかった羽毛を持つ(メスでは褐色が主体)。
一日の大半を樹上の枝で過ごし、飛んでいる昆虫を素早く捕まえて食べたり、
飛びながら水溜りにダイヴィングして水浴びしたりして過ごす。
「ツキヒホシ(月・日・星) ホイホイホイ」と聞こえる美しい声で鳴き、其処から「三光鳥」の名が付けられた。
木の枝の又になった部分に枯草やクモの糸を使ってカップ型の巣を作り、産んだ卵は雌雄交替で抱卵。育雛も雌雄が共同で行う。
静岡県の県鳥(県を象徴するシンボリックな鳥)に指定されている。