アカカンガルー
Red Kangaroo (Macropus rufus)
カンガルー、と言う言葉の響きは、
この名前を聞いた人に深い印象を与えるモノらしい。
昔から多くの識者が、この名前について様々な事を言及している。
最も有名なのは下記に示すエピソードであろう。
有名な探検家キャプテン・クックが、オーストラリアに初上陸した時の事。
現在のシドニー近郊・ポール・ジャクスン辺りで、見慣れない二足歩行の動物を見た。
彼が現地のアボリジニーの案内人に「あの獣は何か」と問うと、
「カンガ−ロー」と言う答えが帰って来た。
クックはその言葉こそかの獣の名前だと合点し、記録した。
以来かの獣は、その時の言葉が訛った「カンガルー」と言う名で呼ばれるようになった。
所処で、アボリジニーの発した言葉の本当の意味は
「わからない」「私は知らない」と言う意味だった…。
近年、この逸話は誤伝であると考えられるようになった。
アボリジニーの言語大系が少しずつ明らかにされ、
カンガ−ローと言う言葉に「わからない」と言う意味が
含まれてない事が明らかにされたのである。
アボリジニーの人々は、伝統的にこの動物を「カンガ−ロー」若しくは
「ガングルー」(『ガングロ』ではない)と呼んでいるそうだが、
これは「小さなワラビー(カンガルーの近縁種で、小型)」と言う意味を言下に含んでいるらしい。
最も、「カンガ−ロー」「ガングルー」の言葉の意味に関しては諸説あり、
それこそ「わからない」と言った有様であるが…。
<データ>
*分類*
哺乳綱 有袋目 カンガルー科
*分布*
オーストラリア内陸部の砂漠地帯
*大きさ*
頭胴長1.05〜1.2m、尾長65p〜1m、体重26〜66s
*食性*
植物食。様々な地表の草本が主食。
*備考*
オーストラリアを代表する大型の有袋動物で、
奇妙な姿形から人気も高く、各国の動物園でも多く飼育されている。
有袋類全てに言える事だが、胎児に近い未熟な子供を出産し、
第二の子宮とも言える「育児嚢」で大きくなるまで育む事で有名。
メスがお腹の袋から子供を覗かせる姿は愛嬌がある。
独特の二足歩行型体型と、太い尾、仔ジカのような頭部が特徴。
移動時は力強い後脚で跳躍しながら進み、そのスピードは時に時速45kmにも達する。
荒地や砂漠に数頭からなる小規模の群れで棲息し、水と食資源を求めて移動しながら暮らす。
夜行性で、日中は日陰などで休んでいる事が多い。
同種間の闘争や外敵から身を守る為、
尾を支えにして前脚で組み付き、後脚で強烈なキックをかます習性がある。
一昔前に動物園やサーカスで見世物とされていた「カンガルーのボクシング」はこの習性を利用した物。
毛皮が優良なのと肉が食用になる為、毎年かなりの数が捕殺されているが、
繁殖力が旺盛な事もあり、今のところそれほど減少傾向はないと考えられている。