オロペンドゥラ(カンムリオオツリスドリ)
Crested Oropendra(Psarocolius decumanus)

人類が初めて「袋」を道具として用いるようになった切欠は、
樹上に巣を構える鳥類のタマゴを獲物として採取した時、
その巣をも、獲物を入れる容器として用いたからだ…と言う学説を聞いた事がある。

実際に鳥類の幾つかは、袋の代用品としてもってこいの、
頑丈且つ精巧な巣を作る種類が多い。

ツリスドリ(吊巣鳥)と言う鳥類の巣も非常に見事だ。
彼等は柔らかい枯草を編み上げて、頑丈な手提げ籠のような巣を木の枝に吊り下げる。
一度、動物園で繁殖シーズンを終えたツリスドリの巣を見た事があるが、
既に使われなくなっているにも関わらず、
風雪に耐え、寸分も損なわれる事無くケージの中に存在していた。

これなら、先史時代の人達の袋代わりとして十分役に立つだろう、と思ったものである。

最も彼等の巣が頑丈なのは、
飽くまでタマゴと雛を捕食者から守る為なのだが。
<データ>

*分類*
鳥綱 燕雀目 ムクドリモドキ科
*分布*
南アメリカ(コロンビア、トリニダード、ギアナからブラジル西部まで)の森林地帯
*大きさ*
全長29〜40cm、体重180〜300g。オスの方が大きい。
*食性*
雑食。果実を主に食べるが、昆虫などを捕食する事も多い。
*備考*
新大陸に多く住むムクドリモドキ類のひとつ。
見かけは小さなカラスのようだが、栗色の下尾筒、レモン色の尾羽、
太く短めのクリーム色の嘴と青い目が特徴。オスとメスは非常によく似た姿をしている。
高木の樹幹部に雌雄混合型の大きな群れを作って生活している。
枯草などを精巧に編み上げ、木の枝に長さ90cmにもなる大きな「吊り巣」を作る習性で有名。
ひとつがいが一本の木を独占する事もあれば、反対に一本の木に複数のつがいが巣を作る事もある。
繁殖期にオスは吊り巣の傍で翼を広げ、逆立ちに似たポーズをとりながら高い声で鳴き交わし、ディスプレイする。
子育てはメスのみで行うが、オスは共同体の他のオス個体と協力し、自分の縄張りを他の鳥類から防護する習性がある。
動物園でもごく稀に飼育される。飼育下の個体は投げられた餌を空中でキャッチするなど、
野生では見られない器用さを垣間見せる事もある。