*水底に潜む獰猛なる獣鬼*
「ウシオニ」とも読む。鬼の顔に牛の胴体(一説に猿の顔、牛の角、虎の胴体)を持つ水棲の凶暴な食肉獣である。
巨大な体を持っているにも関わらず、忍び足の猫のように足音を立てずに歩くと言われる。変身能力もあり、好んで美女に化けるとも言う(美女に化ける事で獲物の人間を油断させる効果があるのかも知れない)。主食は生肉で、その食性によりしばしば人畜に甚大な被害を齎す。
また、「牛鬼(ぎゅうき)」は谷川などの清浄な水が多くある場所に隠れ潜む習性があり、不用意に近づく者があると襲い掛かってその影を飲み込んでしまうとも言う。影を飲まれた人間は病みつき、間をおかずして死んでしまうと言われている。
「牛鬼」は名だたる日本の妖獣の中でも最も獰猛で、且つ執念深い存在として知られており、狙った獲物は決して見逃さず、何処までもしつこく付け狙う。但し、「石は浮かんで木の葉は沈む、牛はいななき馬吼える」と言う「逆さ言葉」の呪文を唱えると退散すると言う話も有る。出雲大社で発行されている魔よけのお札も苦手らしい。