チョウビケイ
Longtailed Fowl (Gallus gallus var.domesticus)※

江戸時代の事…。
現在の四国・高知県の事を「土佐」と呼んでいた時代の話。

土佐藩の殿様が、他所の藩の参勤交代の折、
大名行列の露払いに使われる長槍を見る機会に恵まれた。
その長槍には立派な羽飾りが。

長槍を保持する藩の殿様曰く
「土佐には、これほどの立派な羽を持つ鳥などおりますまい」

痛く憤慨の面持ちで帰宅した殿様。
城に着くなり家臣に命じた…。
「一刻も早く、他国のどの鳥にも負けぬ立派な羽毛を持った鳥を作り出すのじゃ!」

『土佐のオナガドリ』即ちチョウビケイ(長尾鶏)誕生にまつわる逸話の一つである。
<データ>

*分類*
鳥綱 鶉鶏目 キジ科
*分布*
日本(高知県)
*大きさ*
全長4〜9.6m(オス、但し尾羽の長さ3.5〜9mを含む)50〜60cm(メス)、体重1.5kg内外(オス)0.8s内外(メス)
*食性*
雑食。
通常はニワトリ用に調合された配合飼料で養われる。
*備考*
一般には「土佐のオナガドリ」と言う名称で御馴染み。
江戸時代に日本の高知県で在来種のニワトリから改良されて作成された愛玩用のニワトリ。
オスの尾羽が通常の羽毛のように生え変わらずに(丁度人間の髪の毛のように)始終伸び続けるのが特徴。
長いモノではこの尾羽が8m以上になる個体もいる。
飼育する時は「留め箱」と呼ばれる特殊な箱に入れ、尾羽を傷つけないように管理し、交配には決して用いない。
この事から、繁殖ホルモンが尾羽の長大化に関係しているのではないかと考えられている。
運動の目的で外に出す時は尾羽を人が持ち上げて地面に触れないように管理する…など、
良い長羽を維持する為にはかなりの労力を要する。
大正12年にニワトリとしては最も早く国の天然記念物に指定、昭和27年にニワトリとして唯一、特別天然記念物に指定された。
因みに英語圏では、横浜から海外に輸出された事に因み「ヨコハマ」(Yokohama)とか、
美麗な尾羽を有するその姿からの連想で「フェニックス」(Phoenix)とも呼称し、愛好家の間で人気が高い。

※学名はニワトリの飼養品種すべてに共通する名称です