グレヴィーシマウマ
Grevy's Zebra (Equus grevyi)
子供の頃からの記憶とイメージの刷り込みって恐ろしい。
幼少の頃によく読んだ動物図鑑では、
必ずと言っていいほど、シマウマの群れのイラストが掲載されていた。
そして其処には決まって、彼等の縞模様についての考察が添えられていた。
縞模様の理由はともかく、子供の頃の記憶が功を奏したのか、
私は動物園で一頭きりのシマウマを見ると激しい違和感に襲われる。
横浜の野毛山動物園で飼育中のグレーヴィーシマウマは、長い事オスが一頭きりしかいなかった。
長年連れ添ってきたメスが死んでしまったのだと言う。
彼が一頭だけでぽつんと佇む姿は、私ならずともひどくつまらない光景に見えた。
その彼に、富山の動物園からお嫁さん候補がやってきた。
人間の歳で言うなら17〜8くらいの生娘。
老いた彼にとっては娘のような感じの嫁だが、動物の世界じゃままある事。
彼が新しいお嫁さんシマウマと仲良くやれる事を願ってやまない。
野毛山のフィールドにささやかながらシマウマの群れを復活させる為にも。
<データ>
*分類*
哺乳綱 奇蹄目 ウマ科
*分布*
アフリカ(ソマリア、エティオピア、ケニア北部)の半砂漠地帯
*大きさ*
頭胴長2.5〜3m、尾長49〜52p、体高1.4〜1.5m、体重350〜420s
*食性*
純然たる植物食。イネ科の草本、特にカヤツリグサが好物。低木の葉や芽も少しは食べる。
消化しにくい繊維質の植物を主食にする為、植物食動物の中でも特に摂食行動に時間を費やす傾向がある。
*備考*
現存するシマウマ3種の中では、最大級の体躯を有する。
縞模様は細く数も多めで、胴では垂直に、臀部ではやや上向きになっている。足先まで縞模様があるのも特徴。
オスはメスよりも大きな体躯と、よく発達した犬歯を持つ。
丸くて大きな耳をアンテナのように自由に動かし、体の位置を変えずに遠くの音の方向を知る事が可能。
通常、オスは単独で縄張りを保持し、訪れる数頭のメスを囲い込む。
一時的な群れを形成する事もある(規模は5〜20頭程度)が個体間の絆は割と希薄で、頻繁にメンバーの交替が見られる。
また、妊娠したメスは普通単独で行動し、子育ても単独で行う事が多い。
嗅覚が鋭く、敵の気配をいち早く察知したり、乾燥した季節には水源を匂いで掘り当てたりする。
低く唸るような声、笛のような高い嘶き声など、目的に応じ様々な声で嘶く。
美しい毛皮と、ワイルドミートが目当ての密猟で、個体数は減少傾向にある。