カリウドオウム
学名:ストリガマゾナ・ハルパゼイナス
Hunting Parrot(Strigamazona harpazeinus)
分類*鳥綱 鸚鵡目 カリウドオウム科
棲息時代*近未来(今から500万〜700万年後)
大きさ*全長85p、翼開長1.5m(アヒルよりやや大)
分布域*南アメリカの草原地帯
先祖が送っていたそれまでの果実食の生活を捨て、
絶滅した各種猛禽類の生態的地位に潜り込み、全くの肉食性に進化を果たしたオウム類。
嘗て果実を噛み裂く為に用いられた鉤状の嘴は、今ではもっと発達し、
ある時は獲物の巣穴を暴くつるはしに、
またある時は肉を切り裂く鋭利な鎌となる。
主に地中に巣を作る小動物や穴居性の鳥類を好んで襲う。
狩りの際は嘴で巣穴を掘り返して捕らえ、
獲物の頚椎を嘴で噛み砕いて殺し、食べる。腐肉も好物。
地上性ではあるが飛翔能力は高く、
獲物を求めて広範囲を漂泊しながら暮らす。
一夫一婦制でつがいの絆は非常に深い。
断崖絶壁に木の枝で荘厳な巣を築き、
一産につき2〜3個の卵を産むが、育つのは大抵1羽の雛…
最初に産まれた卵から孵った子供のみ。
通常、残った卵は雛の最初の食事になる場合が多い。
学名は「奪い取るストリガ(中世ヨーロッパの吸血鬼の一種)のボウシインコ」の意味。
*緑色の羽毛に包まれた大きな鳥…カリウドオウムが、時折首をかしげて地面すれすれにまであてがいながらゆっくりと歩いている。やがて何かの立てる微かな音を聞きつけたのか、やおらカリウドオウムは地面に嘴を突き立て、猛然とした勢いで土を掘り返し始めた。数分後、嘴の猛烈な突貫工事が終わった刹那、彼の嘴には丸々と太ったトカゲが咥えられていた。地面に尾が届くほど大きな、暴れるトカゲを物ともせず、穴の外、突貫工事の跡地から離れた場所まで引きずり出して足で押さえつけ、首筋に強烈な噛み付きを幾度も食らわせる。やがてトカゲの首が胴体から離れ、暴れていたトカゲが静かになると、カリウドオウムは首を失って多量に出血するトカゲの骸を咥え直し、一気にずるりと飲み込んでしまった。
*現世のオウム類にケア(ミヤマオウム)と呼ばれる風変わりなオウムがいる。ニュージーランドに住むこの鳥は、オウム類の中では珍しく肉食性の性質を持っていて、海鳥の雛、小動物、更に牧場で弱って捨て置かれたヒツジの新生児などを、その鉤型の嘴で殺して獲物にしていた。 そして今、ケアの出現から長い年月を経て、同じような食性を持つに至ったオウム類が南アメリカの草原で小動物を怯えさせている。カリウドオウムである。
その姿はオウムと言うより、頭が大きく発達した猛禽類そのものである。鎌状に弧を描く巨大な嘴は獲物を殺す武器としてだけではなく、時には獲物の住処を暴くつるはしやシャベルの役割をも果たす。嘴の外側はケラチン質で出来ており、齧歯類の門歯と同じく一生涯伸び続ける為、摂食行動などで酷使しても磨り減ると言う事が無い。またカリウドオウムの嘴は縦に大きく、横に平たい。そして眼は立体視が出来るような位置についている。この為非常に視野が広く、素早い外敵の察知も然る事ながら獲物の探索にも大きな効果を齎した。
多くの猛禽が姿を消してしまった中で、カリウドオウムは地上に進出した様々な小動物を獲物として暮らしている。
***この動物をより知る為のキーワード***
ケア(Kea) 学名Nestor notabilis
全長50cm前後の大型のインコ類。ニュージーランドの南側の山岳地帯に棲息する。元来は昆虫や果物を食べる雑食性の鳥だったが、人間が棲息地を破壊してヒツジの放牧場にした結果、不足気味の元来の食べ物を補うべく、一部の個体が海鳥の雛や子ヒツジを襲って食べるようになった事で有名。