ジャコウウシ
Musk Ox (Ovibos moschatus)

哺乳綱偶蹄目ウシ科。頭胴長2〜2.3m、肩高1.1〜1.5m、尾長7〜10cm、体重200〜450kg。アラスカ、カナダ、グリーンランドのツンドラ地帯に棲息する。ウシと名がつくが狭義のウシの仲間ではなく、寧ろニホンカモシカに近縁。黒っぽくごわごわした長い外毛とその下に隠された柔らかい褐色の下毛、頭頂の隆起から生える独特の形状をしたツノが特徴。雌雄良く似るが、メスはオスよりやや小さい。冬季には20〜100頭、夏季にはそれより小規模の群れを為し、草やコケを食べる。発情期、オスは強い体臭を放ち、その匂いが麝香の匂いに似ている事からその名がついた。寒さから子供を守ったり、捕食者(オオカミなど)から群れの弱い個体を守る為、おとなのジャコウウシが「円陣」を組んでツノを振り翳す様子は非常に有名。毛皮と肉を狙った狩猟で一時期非常に個体数が減ったが、昨今の計画的な再移入により、現在では再び個体数を盛り返しつつある。一部では寒冷地に向けた家畜化の計画もある。