パンケーキリクガメ
Pancake Tortoise (Malacochersus tornieri)

狭い隙間にモノが挟まって、
取れなくなってしまった経験がおありの方は多いのではないだろうか。

動物の世界には、これと似たような防御方を用いる奴がいる。

アフリカに住むパンケーキリクガメもそのひとつだ。
元々カメは、防御の為に肋骨を進化させ、
堅牢な「甲羅」を手に入れたが、
この「鎧」も万能ではなく、
頑丈な顎や道具を使う知恵には完敗を喫する欠点があった。

パンケーキリクガメはその欠点を、
自然物を利用する事で克服した。

彼等は危機が迫ると、カメとは思えないスピードで地上を移動し、
隙間のある岩場に潜り込んでしまう。
そして、扁平な甲羅を岩の隙間にねじ込んで四肢を突っ張り、
体を膨らませて岩の隙間にがっちりと固定してしまうのだ。
こうなると、大概の捕食者には手がつけられなくなる。

大地を味方につけた防御、と言うべきか。
<データ>

*分類*
爬虫綱 カメ目 リクガメ科
*分布*
アフリカ東部(ケニア、タンザニア)の草原地帯
*大きさ*
甲長15〜18cm程度
*食性*
植物食。
*備考*
防御の為に極めて特異な性質を手に入れたカメ。
他のカメに比べて相対的に平たい甲羅を持っており、其処から「パンケーキ」の名がつけられた。
この甲羅は各所に緩い空隙があり、極めて柔軟性・弾力性に富んでいる。
また、甲羅の空隙の御蔭で見た目より体重が軽く、
カメとしては異例なほど素早く動けるのも特徴。
驚かされると素早い動きで岩場に移動し、適当な隙間に潜り込んで、
空気を大量に吸い込んで体を膨らませ、甲羅を隙間に固定して身を守る。
見た目の面白さからペットとしての需要が高く、
その為多数捕獲されており、絶滅が危惧されている。