ブチハイエナ
Spotted Hyena (Crocuta crocuta)

哺乳綱食肉目ハイエナ科。頭胴長1.2〜1.8m、肩高70〜90cm、尾長25〜30cm、体重55〜85kg。現存するハイエナ類4種の中では最大。アフリカ各地(コンゴ盆地とアフリカ南部の一部地域を除く)に分布し、拓けた草原から半砂漠、湿原まで多様な環境に棲息する。肉食の哺乳類としては異例な事にメスの方が身体が大きい。5〜50頭までの母系の群れ(クラン)で生活し、群れの中ではメスの方が優位。一般的にライオンの食べ残しや屍肉を好んで食べると思われているが、実際は非常に優れたハンターであり、シマウマやスイギュウ等の大型の獲物を群れの力を頼みに狩る。一部地域では寧ろ、ハイエナの獲物をライオンが強奪すると言う調査報告もある。また、ライオンとは同様の生態的地位にある事から野外でも食物連鎖を超越した対立関係にあると考えられ、群れを離脱した老ライオンをハイエナが殺したり、逆にひとり歩きのハイエナをライオンが殺す事もしばしば起こる。
メスの生殖器が一見オスのそれに類似した形態である事と、ヒトの笑い声に似た不気味な鳴き声から、昔は「声真似で人間を誘き寄せて食い殺す両性具有の獣」と信じられていた。