綿
*虚空を舞う殺人反物*
鹿児島県・大隈地方を中心に、主に西日本で語られる怪異。
姿かたちは一反(凡そ10.6m)程の白い木綿の反物のようで(これが名前の由来)、風に乗って空を飛ぶ。特に夕方から夜に出現するようだ。ひらひらと飛んでいる分には、風に煽られた白布が飛んでいるようにしか見えない。
然し、妖怪は見かけには拠らぬもの、うっかり近付くと素早い動きで襲い掛かり、首筋にきつく撒きついて首を締めたり、目鼻をがっちりと包み込んで窒息死させたりすると言うのである。姿かたちと内に秘めた残虐性のギャップと言う点では、日本の妖怪の中でも十指に入るだろう。
正体は不明だが、反物状の外見から、一般には布の付喪神(つくもがみ、器物に憑依して諸害を為す悪霊の事)とされている。似たような妖怪の存在が中国にも伝えられているが、関連は不明。
メディアの発達により名が売れた妖怪は数多いが、この妖怪も、水木しげる御大の名作「ゲゲゲの鬼太郎」で一躍有名になった妖怪である。水木御大がデザインした、御幣に手と目がついたような独特なスタイルは一部の妖怪愛好家に非常に受けが良く、現在でも「一反木綿」(いったんもめん)を好きだ、とする愛好家は多い。
意外なところでは、児童文学家の椋 鳩十氏の作品にも「一反木綿」を扱った短編がある。 最近では近畿地方の某所で布状の飛行物体が確認され、『「一反木綿」出現か!?』と新聞記事になった事もあった。