コンゴウインコ
Scarlet Macaw (Ara macao)

人間は、不足しがちな栄養素を補う為に、
サプリメントと言う栄養補助食品を編み出した。

その一方で、自ら編み出した訳ではないが、自然のサプリメントとも言うべきモノを
利用している生き物も世界各国に存在する。

南米のジャングルに暮らす極彩色の珍鳥、コンゴウインコ。
彼等の主食は森にたわわに実る果実である。
その中には強烈なアルカロイド(毒素の一種)を含有する物も少なくない。

コンゴウインコは摂食行動で体内に蓄積された毒素を浄化し、
同時に不足しがちなカルシウムを補う為、頻繁に土を齧る。
地面を覆う黒土では無く、様々な栄養素を含んだ少々特殊な土が、
かのジャングルの各所に崖となって露出しているらしい。
そんな場所で、コンゴウインコは自らのペンチのような嘴にモノを言わせ、
硬く引き締まった土をガリガリと噛み砕き嚥下するのだそうである。

からからに乾いた土の崖に、炎のように真っ赤な鳥が群れをなして、
わき目も振らず一心不乱に土を齧る光景…。
きっと壮観な眺めに違いない。
<データ>

*分類*
鳥綱 鸚鵡目 インコ科
*分布*
メキシコ南部から中央、南アメリカの森林地帯
*大きさ*
全長85〜95cm、体重0.9〜1.2s
*食性*
植物食。液果、ナッツ類(特にヤシ類の実)が好物。木の葉や花も少しは摂食するらしい。
*備考*
インコの仲間では最大に近い部類。
赤を主体に黄色、青などの極彩色の羽毛を持ち、顔面は白く裸出している。
上嘴が下嘴を覆うほど大きく発達し、先端がやすりのようにギザギザするのが特徴。
上嘴は独自に稼動させる事が可能で、堅果を効率よく噛み割ったりするのに役立つ。
脚も器用で、片足で枝に掴まってぶら下がったり、餌を口に運んだり出来る。
これらの特徴はいずれも、餌の豊富な樹上での生活に適応した結果。
樹幹部に20羽前後の大きな群れを作って暮らし、
騒々しい金属的な鳴き声でコミュニケーションを取りながら飛行して移動する。但し、摂食時には非常に静か。
一夫一婦制でつがいの絆は極めて深く、どちらか一方が死んでしまうまで続く。
高木の洞に巣を作る習性ゆえ、営巣に適した巨木が無い地域では見かける事は殆ど無い。
飼い鳥として一部愛好家に非常に人気が高いが、乱開発と過度の狩猟が災いして、
野生での個体数は減少しており、絶滅が懸念されている。