アンデスコンドル
Andean Condor (Vultur gryphus)

コンドルと言う鳥は非常に寿命が長い鳥である。
完全に成熟した状態(卵から孵化しておよそ5〜7年)で動物園に連れてこられ、
その動物園で60年近くも飼育されていた例も有る。
野生でもほぼこれに近い寿命を全うするものと思われる。
鉄砲を持った人間以外にこれといった外敵が彼等には存在しないからだ。

まだ医学が発達していなかった時代、
長生きする、ただそれだけの理由で
短命だった当事の人々にとってコンドルは神にも等しい存在だった。

だが、医学が発達し人々が長生き出来るようになった今の時代、
彼等は人間の齎す生産活動が原因で急速に数を減じている。

ヒトは、寿命が延びるに連れ自然を信仰する真摯な心が退化する生き物なのらしい。
何と悲しい話だろうか。



<データ>

*分類*
鳥綱 鷲鷹目 コンドル科
*分布*
アンデス山脈各地、パタゴニア沿岸の山岳地帯
*大きさ*
全長1〜1.3m、翼開長2.7〜3.2m、体重9〜12kg
*食性*
肉食性。もっぱら動物の屍体を食べる。
衰弱した動物であれば生きた獲物を襲う事も稀にあるが、活発な獲物を狩る事は殆ど無い。
*備考*
空を飛ぶ事の出来る鳥類ではアホウドリ類と並んで最大級の種類。
頚部の付け根にエリマキ状の白毛があり、頭部、上頚部は羽毛が無く禿げている。
オスはメスよりやや大きく(猛禽類としては異例)、嘴の上に肉質のトサカがあるのが特徴。
上昇気流に乗って長時間空を飛び回り、視覚と発達した嗅覚で獲物を探す。
嘴はかなり強いが、生きた獲物を捕らえる必要性が無い為、
他の猛禽類に比べると脚はやや弱く、爪もそれほど鋭くは無い。
旧世界(アジア、ヨーロッパ、アフリカ)のハゲワシ類に対して「ハゲタカ」と呼称する事もあるが、
遺伝学的にはタカよりむしろコウノトリ類に近縁とも言われ、
学者によってはワシタカ類から外して独自の目を立てる事も有る。
住環境の開発や狩猟の影響で数が減っている。