ペルシアヤギ(パザン)
Pasang (Capra aegagrus)

哺乳綱偶蹄目ウシ科。頭胴長1.2〜1.6m、肩高0.75〜1m、尾長13〜20cm、ツノの長さ1〜1.3m、体重25〜95kg。中近東から北西部アジアの山岳地帯に棲息。家畜ヤギの先祖。岩がちな土地にオスは通常単独、メスは子供を含む5〜30頭(最大100頭)までの群れで、餌となる乏しい植物を求めて放浪しながら生活する。雌雄共にツノがあるが、オスのツノはメスのそれより大きく発達し、体色もオスの方が灰色っぽい(メスはやや赤っぽい)。また、オスのみ発達した顎ヒゲを有する。幅の広く柔軟性に富む蹄を持ち、敵に襲われると蹄の力を頼みにゴツゴツの岩肌も難なく登り切り、近寄り難い崖に逃げ込む。発情期にはオス同士でツノを使った力比べが見られる。ペルシアヤギの消化器官からごく稀に見つかる胆石を「べゾアール」と呼称し、古来、漢方薬の材料として珍重された。近年は生息域の乱開発と狩猟による圧迫、更に放牧された家畜ヤギとの競合で、個体数を減らしている。