アルダブラゾウガメ
Aldabra Giant Tortoise (Geochelone gigantea)
ゾウガメは悲しい生き物である。
餌資源の乏しい島での生活を余儀なくされている彼らは、
同じ植物を食べる動物でも特に哺乳類と比べると、
驚くほど我慢強いところがある。
即ち、爬虫類ならではの代謝の低さで少ない餌を辛抱強く、且つ効率よく摂取し、
餌の乏しい時節をひたすら耐えるのである。
これに目をつけたのが、大航海時代の船乗り達だった。
冷蔵庫の無い時代、餌を与えずとも長期間生かす事が可能で、しかも肉が美味しい…と言う理由で、
多くのゾウガメが「生きた鮮肉貯蔵庫」として島から運び出され、
船乗り達の胃袋に収まってしまったのである。
今現在、一応保護の手は差し伸べられてはいるけれど。
一度個体数が激減したゾウガメを増やすには、
カメの歩みと同じ位の長い長い月日が必要である。
ゾウガメが再び過去の隆盛を取り戻す事が出来るのはいつの話になるだろうか…。
<データ>
*分類*
爬虫綱 カメ目 リクガメ科
*分布*
アフリカ東南部(セーシェル諸島、アルダブラ群島)の砂漠地帯
*大きさ*
甲長75〜130cm(160cmの記録が残されている)、体重100〜230s
*食性*
植物食の傾向が強い雑食性。
砂漠性の多肉植物や潅木の枝葉を主食とし、時に仲間の屍骸を含む動物質を摂食する。
*備考*
近縁のガラパゴスゾウガメ(Galapagos Tortoise/G.elephantopus)と共に、陸上では最大級のカメ類。
現存する脊椎動物では最も長命な生き物のひとつで、最大で180年は生きるらしい。
ゾウを思わせる太い四肢と巨躯から「ゾウガメ」と名付けられた。一名を「オオリクガメ」とも言う。
疎らに植物が繁茂する荒地に単独で生活し、通常陸地で行動するが、飼育下ではプールに好んで浸かる習性が確認されている。
動きは非常に緩慢で鈍重。
また、長期間の絶食にも耐えられる性質を持っている事から、
嘗ては船乗りの非常食として多数の個体が島から持ち出されて殺され、数が著しく激減した。
現在は国際的な保護を受けている。
棲息する島によって3亜種に分類される(目立つ外見的相違は少ない)。