コモドドラゴン
Komodo Dragon (Varanus komodoensis)
インドネシアの一角を為す小スンダ列島の島々のひとつに、
コモド島と呼ばれる小さな島がある。
この島に「竜」が住んでいると言う噂がのぼったのは、大航海時代も真っ只中の頃の事である。
彼等…コモドドラゴンが伝説に言う恐ろしい存在ではなく、
島と言う特殊な環境に適応した動物であると言う事が確認されたのは、20世紀の始め頃の事だった。
恐竜が絶滅して長い年月が経ったとある時期、
オセアニア地域を中心に、巨大なオオトカゲ類が
捕食者として君臨していた時代があった。
最大の種類で実に5m以上もあったと言う彼等は、その後進化した肉食獣に取って代わられ、
大陸では全く絶滅してしまった。
しかし、コモド島などの幾つかの島々では、
肉食獣は進出する事が出来なかった為、
彼等の子孫とも、小型版とも言えるコモドドラゴンが生き残った。
小型とは言え彼等は現存するトカゲ類では最大の種類である。
彼等の狩りのスキルには賛否両論があるが、壮年の個体ともなれば、
ヤギやシカを屠り倒すなど朝飯前らしい。
しかし、飼育下では中々の好奇心を発揮し、飼育係さんにもよく慣れ、
初対面の人間に対しても臆する事無く近寄る愛嬌者の側面を見せるとも言う。
こわもてながら、接し方さえ適切ならば、
案外付き合いやすい生き物なのかも知れない。
<データ>
*分類*
爬虫綱 有鱗目(トカゲ亜目) オオトカゲ科
*分布*
小スンダ列島の一部(コモド島、フロレス島、リンチャ島、パドル島)の海岸や森林地帯
*大きさ*
全長2.5〜3.3m、体重68〜91s(最大で161sの記録がある)
*食性*
肉食性。小型〜中型の哺乳類やその死肉が主食。
体重600kgのスイギュウを殺したと言う記録もある。
*備考*
最大のトカゲ類。体の長さでは、ニューギニアに住む近縁種(全長4m)に負けるが、
体重は時に100kgに達し、断然こちらの方が重い。
昼行性で、朝、十分に日光浴をしてから活動し、夜間はは木陰や自ら掘った巣穴で休む。
彼等の狩りの能力に関しては学者によって様々に言われているが、
イヌのような獲物を追撃する狩りや、ネコのような忍び寄る狩りではなく、
一箇所で辛抱強く待ち伏せて見つけた獲物に激しい攻撃を加えて深手を負わせ、
時間が経過してから相手が出血多量で弱るか死ぬのを待って食べると言うのが本当のところらしい。
又、死肉も好んで食べ、島の『掃除人』の役割も兼ねている。
肉食性と言う食性に適応して、その歯は深くカーブし且つ非常に鋭く、
まるでサメか肉食恐竜の牙のような形態をしている。
現在、インドネシア政府の厳重な保護下にあり、7000頭あまりの個体が種の命脈を保っている。