グリーンイグアナ
Green Iguana (Iguana iguana)
最近ではあまり聞かなくなったが、
一時期、夏になるとイグアナの脱走事件の話題が各地から聞かれた。
ペットとして飼育されているイグアナの数の多さに驚くと共に、
飼育管理の詰めの甘さを感じずにはいられないニュースであった。
過日、幻想動物の事を取り上げた本を読んでいたら、
19世紀半ばのフランスでも同様の事件が幾つかあると記されていて驚いた。
動物に関する知識が一般に浸透した現代でさえ、
イグアナを発見した人が「怪獣だ!」と大騒ぎする事もあるくらいである。
19世紀のフランスの人々が、屋外で彼等に出会った時の驚きたるや、
想像に余るものがある。
異国の地に連れてこられ、奇異と驚きの眼差しに始終晒され、
自由を求めて逃亡すれば怪獣呼ばわり…。
イグアナが哀れに思うのは私だけであろうか。
<データ>
*分類*
爬虫綱 有鱗目(トカゲ亜目) タテガミトカゲ科
*分布*
中米から南米にかけての森林地帯
*大きさ*
全長0.6〜1.5m(最大で2m)、体重3〜5kg
*食性*
植物食の割合が強い雑食性。主に果実や木の葉を主食とし、稀に昆虫などを食べる。
若年個体ほど昆虫食の割合が強く、成長すると共に植物食の割合が高まるようである。
*備考*
新大陸特産の大型の樹上性トカゲ。
背中に並んだ剣状の鱗と、体の半分以上にも及ぶ長い尾が特徴的。
長い尾は、天敵にに対しムチのように振るう武器であると共に、樹上での活動の際、バランサーとしても機能する。
樹上生活に適応して手足の発達は著しく、指には鋭く長い爪が生えている。
また、成長すると喉の部分に大きな肉ひだが出来るのも特徴。
天敵に驚かされると高い木の梢からジャンプし、水中に飛び込んで難を逃れる事もある。勿論泳ぎも達者。
美しい姿かたちから、昨今ではペットとして人気。
現地では「ガジーナ・デ・パロ」(樹上のニワトリ)と呼ばれ、食用にされている。