ビーバー
Beever (Castor fiver)
ビーバーが、自分の住処を守る為、
広大な「ダム」を建設するのは非常に有名である。
ビーバーの巧みな建設術を紹介する為、当時、半ば悪ふざけ然に、
尻尾で漆喰を運び、二本足で立ち上がって大勢でダムを建設する
ビーバーの絵が描かれた事もある。
ヨーロッパのある地域では、教会の修道士達が自分達の敷地内にビーバーを住まわせ、
そのダムを「生簀」の代わりにして魚を飼育し、日々の糧に当てていたと言う記録がある。
ところが、当時の修道士の中にも所謂「生臭坊主」がいたと見えて、
ある時この「生簀」の主のビーバーを捕らえ、料理して食べてしまった。
その事を神父に詰問され、修道士は答えて曰く。
「ビーバーは尻尾に鱗があり、水の中に住むから魚の仲間なのです」
現在、ヨーロッパではビーバーは非常に稀な生き物になっている。
一般には森林の乱開発が原因と見られているが、
若しや、肉に飢えた修道士達が上記の言い訳の元、
ビーバーを片端から捕らえて胃袋に収めてしまったのでは…
と言うのは、穿った考えであろうか。
<データ>
*分類*
哺乳綱 齧歯目 ビーバー科
*分布*
北半球(北アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、シベリア、モンゴル)の湖沼地帯
*大きさ*
頭胴長74〜90p、尾長30〜38p、体重11〜30kg
*食性*
植物食。ヤナギやポプラ等の樹木の枝葉、根、樹皮を好む。
他にキノコや水生植物の芽なども食べるようだ。
*備考*
カピバラと並んで齧歯類では最も大きくなる種類で、
ずんぐりむっくりの身体、水かきのある短い脚、鱗状の皮膚を持つ平たい尾が特徴。
樹木が繁茂する湖沼につがいで棲息し、概ね夜行性。
捕食者の攻撃を避ける目的で、木の枝や泥、石を川に積み上げて「ダム」を作り、
そのダムで堰き止めた池の真ん中に、出入り口が水中にある大きな巣を作る習性で有名。
水中生活に適応して非常に良質な毛皮を持つ事で知られ、
嘗てはその毛皮を狙った過剰な狩猟圧に晒され、個体数が大幅に減少した。
現在は棲息地の各地で手厚い保護を受けている。
尚、北アメリカやカナダに住むビーバーをヨーロッパのビーバーとは別種に分類する説もある
(その場合、アメリカのビーバーの学名はCastor canadensis)。