ボアファント
学名:バロポルクス・ベヘモス

Boaphant(Baroporcus behemoth)
分類*哺乳綱 偶蹄目 ボアファント科
棲息時代*近未来(今から500万〜700万年後)
大きさ*全長5.5m、肩高2m(シロサイ大)
分布域*アフリカの草原地帯

この時代の陸上哺乳類では最大級。
イノシシの子孫。
身体が著しく大きく、上唇と鼻の筋肉が融合したよく動く鼻を持つ。
その他にも重い身体を支える為の太い足、
餌の低木や草を根扱ぎにする為の長大な牙など、
嘗て地球に生存したゾウ類に似た適応を示している。
雑食性であった祖先のイノシシ類と異なり、純然たる植物食である。
草原地帯に1頭のオスと数頭のメス、その子供からなる大きな群れで暮らす。
主に陸上棲であるが、時折水草を求めて川や池に入る事もあるし、
酷暑の時には藪や低木林に集まる事もある。
このように季節や需要に寄って住む場所を変え、
様々な植物を利用する事で、
ゾウ類だけではなくサイ類やカバの生態的地位をも利用している。
学名は「重々しいブタ」の意味。因みに種小名のbehemothは、
言うまでも無く旧約聖書ヨブ記に登場する巨獣の名に因む命名である。
*ゴロゴロと低く重い鼻音を鳴らしながら、ゾウに似た巨大な獣が数頭の群れでサヴァンナを横切る。その牙は立派に弧を描き、巨木の幹のように太い四肢にはがっしりとした蹄がついている。彼等はボアファント。嘗てサヴァンナに住んでいたイノシシ類が巨大に進化した、この世界最大級の陸上生物だ。彼等は、食資源として利用できる植物は全て口に運ぶ大食漢だ。低木の藪も、低く地面に枝を伸ばした樹に茂る若葉も、それどころか水草や藻、草やその根に至るまで、彼等は食べられる植物ならば何でも食べる。そうでもしないとこの巨体は維持できないのだ。四六時中食べ続けなければならないと言うデメリットはあるが、巨体が齎すメリットはそれを補って尚余りある。大きな身体を持つ事で、他の動物には利用できない高さの植物も食べられるし、天敵を視覚的に遠ざける事も可能だ。悠々とサヴァンナを横断するボアファントの群れ。然し、その平穏は突然の襲撃者に拠って破られた。サヴァンナで最も強力なリュ−ゴのつがいが、ボアファントの子供を狙って奇襲を仕掛けてきたのだ。うろたえるメスと子供達。群れのリーダーのオスがリュ−ゴの前に立ちはだかり、太く長い鼻を振り上げてつがいの片割れを思い切り張り飛ばした。次いで長大な牙を盲滅法振り回し、もう片方のリュ−ゴをもなぎ倒す。襲撃者はその攻撃で、今狙っていた獲物が一筋縄ではいかない獲物だと気が付いた。つがいのリュ−ゴはもっと狩りやすい獲物を求めて茂みの中に消え、ボアファントの群れには再び平穏が戻った。

*アフリカでも、多くの地上性動物達が地球規模の激変についていけずに滅び、生き残った僅かな動物達も、新たに樹上性動物達から進化した競争相手との競合に勝てずに次々と勢力を失っていった。然し、アフリカの場合はやや事情が南アメリカと異なり、滅びるどころか優勢になった地上性動物がいる。今や地上に唯一とも言える偶蹄類の最後の生き残り…イノシシの仲間達である。
彼等は幅広い食性と旺盛な繁殖力、更に新たなる環境に素早く適合する能力を持っていた(人類時代のオーストラリアでは、その能力故に飼育下から逃げて野生化したブタが土着の自然を撹乱するに至ったほどである)。草原や砂漠の拡大に伴い、幾つかのイノシシ類の系統は素早くこの新天地に適合し、森林から追われた者達との競合にも十分打ち勝つ事が出来た。
ボアファントは、そうしたイノシシ類の中でも最大級の種類である。姿形は嘗て地上で最も大きかった草食動物…ゾウに酷似している。筋肉が発達しモノを掴めるようになった鼻、長大な牙、頑丈な巨体、それを支える柱のような太い四肢…その巨体故に彼等には天敵が殆ど存在せず、まさにサヴァンナ最強の植物食動物の地位を進化の時から守り続けている。生態的地位も、嘗てのゾウに似たようなものであるが、ボアファントが進出した草原には、嘗て生存していたカバやサイなどの大型草食動物がいない上に、これらの生態的地位が空白になっていた為、結果的に彼等がこの空白を埋める事となった…酷暑を避けて水の中に入った時は水中に繁茂する水草を食べ、草原に十分に食料が見出せなければ藪や低木林に入り込んで、其処で木の葉や枝を好きなだけ貪る…と言った具合に。
***この動物をより知る為のキーワード***
現在の所特になし。