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「早気」とその克服についての個人的見解

弓道における流行り病・「早気」
昔から存在して、かつ色々な矯正法が言われてるのは決定的なものが無いってことですが。

自分が少なくとも2年のときは、「早気は団体に入れない」というルールがありました。幹部をするくらいまでも基本方針はそうでした。
人的にも余裕がある状態だったので運用できてたわけですが。

結局、試合において安定した的中を期待できないからです。

自分が早気のときは、引き分けてきて、動きのベクトルが下向きから左右に変わる以前、あるいは瞬間に離れて閉まっていたと記憶してます。
それで中ったとすると、その中る位置にあるのは一瞬だけです。そのシビアなタイミングを試合という場で再現し続けるのは難しい。
故に試合の場で信用できない。

自分の経験は置いておいても、手元の本には早気とは「胸弦と狙いと頬付けの三つ(会の構成要件)がつかいないうちに離してしまう事」とあります。
狙いがついてなければそれは中らないですわね。あんまり狙いをつけるどろこじゃない、という感覚も覚えてます。
逆に、胸弦と頬付けは目安になります。それを付けにいくのもひとつの方法だと思います。

さて本題。どうやって早気を直し会をもつか。
あくまで個人的な見解なので合うかどうかはあなた次第。(無責任

早気は3つの要素があると思ってます。
・筋力の不足によるもの
・射形によるもの
・精神的なもの

筋力は、補助的なものかな。不足していれば射形も崩れやすくなって会をもつのが辛くなる。
そもそも引き分けからしんどい。
無理やり筋力で持って会をもてる人もいるでしょう。あるに越した事はありません。
ただ弓の強弱に関わらず早い人もいるはず。自分もそっちの部類だったかも。

ということで、まず具体的に見直すべきは射形でしょう。精神論の前に目に見えるものを。
大原則として三重十文字は崩れていないか。
肩線は上下、前後とも傾いていないか。バランスが悪いと多々弊害が出てきます。
以下細かい事が続きますが根本はこれですから。

体が弓に取りこめてるか、はとても重要かと。体の前に弓が降りているとどうしても会を保てないのは分かると思います。胸弦、肘位置の前後など目安にしてください。

馬手肘の高さ、馬手の張りは適当か。頬付けを目安にしてください。
馬手肘が馬手肩より高めだとやはり弓の力に抗するのは困難です。一度適切な高さまで降りると結構違います。

馬手の張りですが、馬手の収まりが悪くて会が持てないという場合があると思います。というか自分でした。
それと馬手のつぶれ過ぎ・たぐり過ぎを合わせて解決するために、馬手全体の回内を強く意識するという方法が当たりました。

弓手も合わせて、特に目通りを過ぎるころから(気持ちは)どんどん回内させていくと収まりが良くなりました。
直接の早気脱出の切っ掛けはそれでした。

とりあえず徒手、素引きからやり直して射形を見直すのは早気のみならず価値はあるでしょう。

最後に精神的な話。
射形の見直しの後、あるいは平行してやってみてください。
「離さないで、離れそうになったらゆっくり弓を戻す」で5秒キープできますか?
できるなら、物理的には会を持てる証左です。それを自信にしてください。
もてる技術を生かすのが精神力です。
出来なかったり、不安定だと感じるなら射形の見直しに戻りましょう。

会でカウントしてもらうのは、その長さの感覚を掴むことにはなります。
自分で声を出してカウントするという方法もあります。
それは会において声を出すという別のことをする余裕が要求されますし、それをある程度身につける事にもなるでしょう。
ただ、経験上は寛解に至るものの再発もまた多い気がします。根治のためには射形もしっかりみてください。

射形のことと合わせて、特に会では何を気をつけないといけないか、自分のチェック項目を作ってみてください。
会に至るときそれを一つずつ確認してください。
狙いもそのうちに入ると思いますが。
それだけの精神的な余裕をもつことができれば早気克服に一歩近づけるかと思いますし、より良い形の射にもつながるでしょう。


あくまで個人の経験則に基づく話です。賢者は歴史に、愚者は経験に学ぶとも言います。

ですが早気克服の一助となれば幸いですし、弓道がより楽しくなると思います。