シーズンオフ2018 2018/11/25更新
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山は雪のあるときがいちばんです。もちろんスキーができるからです。でもスキーがなくてもそれはそれで楽しいです。
お金がかからず、時間がかからず、それでいてそこそこ充実感があって、シンプルな行動を善しとします。
できれば、その日思い立ったらデイパックをつかんで家を出るようなすっきりとした山行がいい。




越後側集落の田麦立 日本の山村の雰囲気をいまだに残す


困難なヤブ漕ぎ2時間半で深坂峠へ出る。峠の石碑と、馬頭観音の中間あたりのトレイルに飛び出る。


関田山脈 深坂峠(みさかとうげ)古道

道なき山に分け入るA  2018年11月7日(水) 
 山川ソロ 

昨年秋に、整備の田村隊長から一冊の小冊子をいただいた。
そこに、関田山脈「深坂峠」の特集があり、添付のマップには、古道を示す点線が引かれていた。
田麦立から深坂峠を越え、野々海池を通り、栄村白鳥に抜ける古い道。

信越トレイルsec6を歩くとき、眺望のよい深坂峠は絶好の休憩ポイントになる。

古道は、現在の車道とはまったく違うところを通っている。
少し前の国土地理院地図には点線があったが、一番新しいものからは消滅した。今でも歩けるのだろうか?

ヤブの薄くなる晩秋、それも見通しのきく晴れの日を待っていた。今回なんとか越後側、田麦立から深坂峠までをトレース。



信州側は来年の課題にしたい。








道はすぐになくなりヤブ漕ぎ 1時間ほどで尾根上にでる。



もう少しで信越トレイルに合流する「はず」だ
関田山脈 北古池の尾根

道なき山に分け入る@  2018年11月3日(土) 
 山川ソロ 

信越トレイルのちょっと脇。
信越トレイルsec3の中古池から仏ヶ峰登山口までは山の中腹の平坦地の杉林の中を行きます。
左手頭上には県境の尾根が望めます。なぜあそこにトレイルを引かなかったのか?あそこには何があるのか?
とても気になっていました。そんな思いは私だけではないようで、何人かが気になる、と言ってました。
行った人もいるようで、先輩ガイドのBさんはスノーシューで抜けてますし、トレイル開拓時代から関わっていたMさんは「あ〜、地元の人は歩くみたいで、石仏があるよ」と言ってました。
行くなら藪の薄い秋、見通しのきく晴天日がチャンス、今でしょ!
我慢できず、行ってみた!

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微かに昔人の往来した痕跡あり。
ヤブの中に埋もれた石仏があるというが発見できず。そして獣臭ぷんぷん、ヤブの薄くなるこの時期でなければおそらく困難。

北古池湿原の北、県境の尾根。擦り傷だらけ。探検的山あるきは面白い。ヤブ漕ぎなくして佳き山なし


胸突岩の登攀 


蟻の塔渡り 見かけは露出感が高いが、岩もしっかりしておりさほど危険ではない


続く剣の歯渡り 蟻の塔渡りよりもろい
いくぶん下り加減なので、張り過ぎるとむしろ怖い。でもよく見ると左手に杭があるので
プロテクションを取るべきだったな・・


稜線から蟻の塔渡りを望む


少しはyさんの「夢」の実現のお手伝いができたのか??

戸隠 表山
2018年10月15日(月) 
 山川 山森


4月からガイド仲間の山森さんと定期的に練習してきたロープワーク、目的は山の中の難所を安全に通過するための装備の使い方をマスターすること、でした。

実は、この相談を受けたときは、ちょっと迷いました。
「キャンプで便利に使えるロープワーク」ならまだしも、安全のためにロープを使うには、結び方を知っている程度では役にたたず、ひととおりのクライミングのシステムを理解していなくては使えないからです。ロープの結び方を知っていたところで、実際に墜ちる人をとめたことがなければ、山の中で止められるわけがない!

そのため、6か月位かけて、じっくり取り組むことにし
「何を始めたの?」
「どこに向かっているの?」
と言われながら山森さんもついてきてくれました。

クライミングジムの安全な支点で、実際に私が落ちて、止めてもらいます。「あ〜、こういう仕組みで止めることができるんだ・・」

その仕上げとして戸隠表山で、その技術を使ってみます。
戸隠表山は険しいものの、いわゆる一般登山道の範疇であり、ほとんどの人はロープを使わないで歩きます。たいていはそれで無事歩けてしまうのですが、一方で転落事故が多いのもご存じの通りです。

戸隠のガイドさんは、お客さんと歩くときは胸突岩や蟻の塔渡でロープを張ります。登山道でロープを使うことは難しいものです。どこでロープをだし、どこで仕舞うかの判断が難しい。すべての悪場で確保していたら日が暮れてしまうし、全く使わないのでは、持ってないのと同じです。時々耳にする、「一般登山道でロープなんて使うな!渋滞して迷惑だ!」というのは間違っています。
「一般」になりそうか、はコンディションで変動するからです。
渋滞するのは、習熟していないから、であり、それで渋滞するなら待たなければいけません。

登山道でロープなんて使うな!は、使い方を勉強したことがない言い訳にすぎません。道具は、練習したうえで活用すべきです。


山森さんの感想、「思ったより怖くなく行けた」これはガイド冥利に尽きる言葉です。この技術と装備を持って、yさんは憧れていた山で活躍してくれることでしょう。

大ヘツリの高捲きハシゴ けっこう高度感ある ここで手こずるようなら引き返した方が良い 


黒部別山谷出合の通過 雪が残る年も多いが、今年は完全に消えた


白竜峡ピナクルルンゼ


下の廊下の核心 白竜峡 ここに来たことが夢のようだ、と言ってくれる人たち


仙人ダム事務所内の通過 ここはかの「高熱隧道」の延長線上にある。
高熱隧道を読んでいれば感激もひとしお


最後の頑張り 阿曽原峠を越えて阿曽原温泉小屋着


水平道大太鼓の通過

黒部川 下の廊下
2018年10月10日(水)〜11日(木) 
ガイド 山川 お客様3名


「黒部川下の廊下」 一般ルートとして通行可能なのは一年のうち約一か月間のみ。
劔や穂高のような、いわゆるカッコいい山ではないのですが、ハートを揺さぶられるような谷歩きでした。特別な緊張感を強いられます。この「下の廊下」という場所にずっと憧れてきた人たちを案内しての山行。

昨年も計画していましたが、台風の襲来に見舞われ、あきらめざるを得なかったのです。チャンスをつかむことが難しい場所なんです。

昨年下見に行ったことをSNSに書き込んだところ、「気を付けていってくださいよ。知人のガイドはお客さんが転落、大騒ぎになり、お客さんは亡くなってしまいましたよ」ときつーい忠告もありました。

今回ご案内した方は、何回もご一緒しており、力も分かっている方。
そんな方を「憧れのルート」に案内することはガイドの役目でもあり、喜びでもあります。
ツアーのように、初対面でどのくらい歩けるのか不明な人をぞろぞろ連れて歩く、ことは考えられませんが、「この人なら歩ける」という人をガイドすることに不安はありません。

吉村昭氏の小説 「高熱隧道」を読んだ人にとっては特別な思い入れを感じる場所。
「夢」を実現するために、私は少しは力になれたのでしょうか・・

鏡池より入山




風化も進み、粗削りな印象だが、不動明王らしく厳しい表情で、剣を持っています。
地上から5m位の高さに彫られている。

戸隠 磨崖仏不動尊
2018年9月26日(水) 



戸隠山の中腹の岩壁には、修験者が修業をした三十三個の洞穴(窟)があったといわれ、戸隠のガイドさんなどの中に熱心に研究してしている方もいますが、その場所は公表されていません。そのいくつかは現在でも訪れることができます。

中でも一般にも知られ、比較的容易に見ることができる、"不動明王”。岩壁に彫り込まれた、いわゆる「磨崖仏」です。「まがいもの」ではありません。

神秘的な雰囲気を醸し出す、戸隠のガイドスポットになるのではないかと思い、見に行きました。
さして危険もなく、道も悪くないですが、爽やかな高原の雰囲気はないので、興味のある人向けかも?


修験者はここで何を見たのでしょう。同じような場所を歩いているにも関わらず、私は悟りが開けるどころか、煩悩が多くなるばかり。

※後日調べたところここは第十番「不動窟」と呼ばれているらしいです。

早月尾根上部からの山頂と長次郎の頭


汗だく、よれよれで馬場島帰着
まさに「試練と憧れ」

劔岳早月尾根ワンデイ
2018年9月3日(月) 

少し長期の縦走をする予定で、仕事をいれないようにしていたんだが、今週は台風が上陸の予報 なんてこった
好天になるチャンスは9/2〜9/3のみ
短期間で充実感のある登山は何か?というわけで早月尾根日帰りを選択

甲斐駒ケ岳黒戸尾根と並んで、標高差2200mを登ってくだる、ロングランテストピース


馬場島(2:35)---劔岳(9:05-9:15)---早月小屋(11:10-11:25)

---馬場島(14:05)

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前日のうちに馬場島入り 
真っ暗な中で、ヘッドランプ頼りに入山しなければいけないので、登山口周辺を確認しておく。暗い登山口でうろうろすることはタイムロスであり、避けたい。
早月尾根自体は2回目であるが、剣登攀のかえり道に下降しただけでもう40年近く前のこと ほとんど覚えていない。

3時に出発するつもりだったが、2時前から歩き出す人もいて目が覚めてしまう。同じようなことを考えている人はいるものだ。2時35分に出発

次第に剱岳北方稜線の山々が明るくなり、標高1600m付近で、ヘッドランプを外す。天気はやや雲が多く、スカっ晴れではない。
途中、霧雨みたいな雨が当たってきたり、今一つな天候
てんきとくらす評価はAだったんだけど、、まあ、カンカン照りよりは登りやすいんだが、眺望が今一つ美しくない。

樹林4時間弱、辛抱の登りで、早月小屋。水平距離は3分の2ほど消化しているんだが、ここからが険しく正念場。気分的には半分と思いたい。

6時間半で山頂到着。ほぼ予定通り
劔岳山頂は別山尾根から登ってくる人も加わり、賑やかだ。
山頂記念写真は順番待ちである。それはどうでもよかったのでパス

帰り道は次第に陽が出てきて気温があがってくる。
標高が下がるにつれ、汗だくだ。

早月小屋では¥500でコーラを買い、一気飲み
干物になりそうだ。短パンの登山者がうらやましくてしかたがない。

正面にみえる赤谷山ブナグラ谷が次第に高くなってくるのを励みに、辛抱のくだり。。。。
14時05分に馬場島帰着
所要11時間30分

体力的な難度としてはカイコマ黒戸尾根と同程度のような気がする。早月の方が、水平距離は短いものの、その分、傾斜が急である。樹の根が張りだしていたり、道がワイルドであり、黒戸ほどスタスタ飛ばせない。

苦しい遠見尾根は登り切り、白岳、今日の宿が眼下に見える!


2日目は朝から霧、強風。ものともせず、山頂へ
山頂直下は岩場だが、しっかりしており、快適な岩場である。


五竜岳〜唐松岳縦走

2018年8月2日(木)〜3日(金) 

中旬に五竜岳をガイドする仕事をいただいたので、下見にいく。

五竜岳山頂付近、大黒岳付近に岩場を持つものの、技術的に難しいルートではないが、標高の高いアルパインエリアのガイドは、いろいろな面でやっかいなことが多く、緊張する。

信トレでお世話になっている吉村さんが、お客さん役を買って出てくれ、同行してくれることになった。強力すぎるパートナーだったため順調に歩けてしまい、フツウに楽しい夏山山行になってしまったが・・・・



3:40 ヘッドランプで出発 全く初めてだと迷うかも・・ 


黒戸尾根名物 ハシゴ 岩場はことごとく梯子工作されていて、
いやらしいガレ場や雪渓、泥濘等はない。アスレチックな側面に集中できるのだ。


八合目 ご来迎場 写真の登山者はほぼスタートから私と前後しながらきた。


八合目から上は鋸岳が顔を出す。ここも課題である。


9合から上、花崗岩の折り重なった快適な稜線


そして山頂 所要時間6時間25分 仙丈が顔を出す。


アサヨ峰 早川尾根の向こうに北岳



下りも長かった。 15時25分 干物のようになって竹宇駒ケ岳神社に下山 
往復 所要時間11時間45分  売店でかき氷を注文し、一気に食う!
甲斐駒ケ岳黒戸尾根 ワンデイ

2018年7月17日(火) 11時間45分


「カイコマ」は男の山である。
山ガールが喜びそうな、湿原、池塘、お花畑などいっさいない。
あるのは、針葉樹林の薄暗い急登
険しくガサガサした岩場、はしご
駒ケ岳講の仏様の数々

特に黒戸尾根はそうである。
標高差2200m このような大きな標高差を登れる登山道は国内にあまりなく、剣岳早月尾根 富士山御殿場口とならんで、体力自慢が腕試しに訪れる。この尾根を登るのに必要なのは、技術でもアスリートのような体力でもなく、「忍耐・辛抱」である。


日帰り往復は、13年前、2005年にもトライした。その時は11時間9分だった。
50代も後半になった今、「今の自分にできるだろうか」

荷物は極力軽量化した。
雨具、ファーストエイドキット、水2L、行動食、ヘッドランプ、ストック、デジカメ
総重量5.7kg

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前夜竹宇駒ケ岳神社駐車場まで入り、車中泊

3時10分に起床 3時40分に出発
3時半にスタートするつもりだったが10分遅れた。
私と同じようなことを考えている人もあり、2〜3人がヘッドランプを付け、前後して上がっていく

いつもならひんやりした空気の中を登れるはずだが、何か蒸し暑い。
暑さで潰されることを警戒し、パワーセーブの意識が高くなり、思い切ってとばす事ができない。

6時間で登りたかったが、6時間25分で甲斐駒山頂
山頂には北沢峠からの登山者も含めて、10人を超える登山者がいた。
夏山シーズンなんだ。


冒頭に「カイコマは男の山」と書いた。でも、こんな武骨な山にかっこいい女性がたくさん闊歩していたことも付け加えておく。