頸城 火打山 澄川(ひうちさん すみかわ)  2018年3月30日(金)〜3月31日(土)
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標高差2000m、滑降距離18km、国内でも屈指のビッグルートの一つ。
難ルートとはいえないが、こういうスケールの大きなルートは好きだ。1995年5月にもこの谷を滑っているが、澄川の渡渉で失敗して流され、よれよれ、泥だらけで、遭難者のような姿で下山したので敗北感は強かった。
あれから23年(そんなに経つのか・・)、この間、ムダ飯を食っていなかった証しに、澄川をすっきりと滑りたい、ずっと思い続けてきた。相変わらず手強かったけれど、、まあ「すっきり」滑ってこられた。


メンバー やまかわ 
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3/30(曇りのち晴れ)
妙高杉ノ原スキー場第一駐車場(8:15-8:25)+++ゴンドラ山頂駅(8:40)---

---スキー場トップ(9:52-10:02)---三田原山トラバース---黒沢池(12:06-12:19)---

---高谷池ヒュッテ(13:05) 【冬期小屋泊 利用料\1,000】

3/31(快晴)
高谷池ヒュッテ(7:30)---火打山(8:53-9:06)---澄川滑降---黒菱川出合(9:50-10:14)---

燕尾根1030m(11:10-11:26)---矢代川第三発電所(11:42)---岡沢本田(13:16-13:26)---

---二本木駅(14:40-15:09)

【越後トキメキ鉄道で妙高高原へ\240 TAXIで杉ノ原スキー場へ\2,450- 車回収】

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3/25日をもって三田原第3高速リフトは営業運転終了

なのでゴンドラ山頂駅からハイクアップ
リフト1本分は稼がないといけない。

先行する4人グループがいるが荷物が軽量なので、おそらく三田原日帰りだろう。





いつも三田原の山頂を忠実に越えて黒沢池に滑り込むのだが、今回初めて「三田原南面トラバース」というルートをとってみた。
以前の高谷池ヒュッテ管理人の築田さんの著書で紹介されているルートだ。
三田原山2350mまで登らずに、南山腹を2100m位の等高線でトラバースして黒沢池に出るものだ。登りが少なくて楽だと思える反面、今日のような硬いアイスバーンだと同じ方向の片斜面トラバースの連続は結構疲れる。
また途中で3本ほど沢を渡るが、ハーフパイプのような形状をしており沢への下降が案外悪い。総じてあまり楽ではない。今日のようなアイスバーンだと滑落の危険もある。

時間は多少かかるものの、三田原山頂を越えた方が、少し滑れるし、楽しいかもしれない。


杉ノ原ゴンドラ山頂から4時間少々で高谷池到着。
冬期小屋が混んでいたら大変だな、と思ってシュラフは持参したが、いまのところだれもいない。

貸切になりそうな雰囲気






冬期小屋の内部 きれいだ
利用料¥1,000円

寝具あり。トイレはなし。
小屋の周辺に汚物は残せないので、今回「携帯トイレ」を持参
ウ○コは持って帰りました

1時間位すると慣れた感じのテレマーカーが現れた。
話をしてみると、RSSA:スキーアルピニズム研究会のM沢さん
超人的な記録から、一度お会いしたいと思っていた。。

夕暮れ間近の5時30分 2人のスノーボーダーが現れ、今日の宿泊は4名 ちょうど良い人数 余裕だ。
20名もいたら少々苦しいだろうな




夕方は風もなく、静かな夕暮れ
夜には月明かりで山が白く輝き、美しい夜景だった
2人のボーダーは外で月を見ながら飲んでいたよう
オツだなあ


明けて3/31日

今日も快晴だ。しかし一昨日の雨がカチカチに凍結し、かなり手ごわそうだ。同宿の方はみな雪が緩むのをまってスタートしそうだが、私は先が長く、時間がかかりそうなので、そうそうゆっくりもしていられない。

7時30分に挨拶をして出発。

山頂直下は、シールだけでは効かず、スキーアイゼン装着






以前は肩から滑降したので、今日は山頂からダイレクトに澄川に滑り込みたいと思っていたが、今日のようなアイスバーンで大丈夫だろうか?
入ってみると堅い雪ではあるものの、表面はささくれ立っており結構エッジはひっかかる。

慎重にターンしながら高度を下げていく。

シュプールもつかない硬さで、足に負担が大



肩からの沢と合流。向かって左が肩から滑ってくる谷
右が山頂からダイレクトに滑り込む谷

相変わらずカチカチ
同じく、シュプールもつかないような硬い雪面

この辺りは澄川で一番美しいところ




谷が狭まって沢滑降らしい光景になってくる。
両岸にはすでにグライドクラックが多数
これは5月の光景だ

正面に容雅山が見えてくるが、ずいぶん下に見える。


再び、谷が広くなる。
両岸から雪崩の落ちている場所が何ヶ所か。
上部はきれいな斜面だが、次第に全層雪崩のデブリが多くなってくる。



黒菱川出合までもう数百メートル、という地点で全層雪崩のデブリが谷を埋め尽くしている。

脇にも滑れるスペースはなく、スキーを外して歩いて下降しなければならない。
デブリの中はクラックやクレバスがあるので落下しないよう注意。ソロの時はこういうクレバスに落下することは致命的である

これをやり過ごすと、沢が割れ始め黒菱川の出合に達する。
もう何日かすると通過にてこずるようになるのではないか・・

おそらくそこからは澄川本流は割れが多いので燕尾根上に登り返す。
登り返しは、各種ガイドでは「沢が割れているようなら燕尾根に登り返す」と、あっさりと書いてあるが、急斜面もあり案外手強い。山腹をトラバースする際には滑落に注意がいる。

発電所巡視路にこだわらず、危険だと感じたらスキーを脱いだ方が良い。

※私の翌日に澄川を滑降した2人の記録を拝見すると、澄川標高1190mあたりから、右岸、ハンノキ平の1364mピーク付近に上がり、このデブリを歩かずに短時間で抜けている。見事なコース取り この時期にはその方が美しいようだ!



いやらしいトラバースに嫌気がさし、最後は直登して燕尾根の1030mほどの地点に出る。
尾根上はちゃんと雪が残っており快適。
そこから滑降しばらくで、写真の貯水タンク(標高900m)にでる。

ここからは送水管沿いに発電所まで滑るが、まだ、雪は残っており全部滑れた。

送水管沿いはワイヤーなどの障害物が多いので、引っ掛けたりしないよう充分に注意のこと。
首にワイヤーなんて引っ掛けたら死にますよ




尾根上滑降30分で矢代川第三発電所へ

この雪の量はGWころのようである。

第一発電所入口まで林道を滑れる。そこまで除雪が入っており、車も何台かデポしてあるが、車道脇の雪を拾って、岡沢本田まで滑れた。

仲間と協力して、車デポしてあれば問題ないが、なければどうするか?
タクシーを呼ぶ人がほとんどだが、二本木駅まで歩いても1時間くらいだ。
人の目さえ気にしなければ、スキーブーツ歩行を苦にしなければ歩いたって駅までいける。

岡沢から二本木駅まで歩く車道からは、火打山がはるか遠くにそびえて見える。「オレはあそこから滑ってきたんだ・・」そんな気分が自尊心をくすぐる。通行人から見れば、タダのヘンな人


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