アペンディクス1 ブッコ学的危険回避理論仮説(1)

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 「ブッコ」の恋愛に対する行動を理解するのに、「危険回避」という考え方を援用できる。これは普通は、投資家がどんなものに投資をするのか、という話をする際に基本中の基本となる理論なのだが、同じようなことは女性に対して積極的な行動をとるかどうかということにも言える、というのが、ここでの主張である。

 前提として、「ブッコ」を次のような存在、と定義する。

1.「ブッコ」は女性嫌いで、女性と話をすることは大きなストレスを生む。
2.「ブッコ」は「自分は常に女性から嫌われる」と思っている。
3.「ブッコ」は極度の「危険回避者」で、滅多に賭けにでることはない。

1.モデルの仮定
 まず、ある人が好きな女性に出会ったとき、2つの選択肢があると仮定する。すなわち
「積極的な行動に出て、仲を深める(行為Aとする)」
「積極策は採らず、今の関係を維持する(行為Bとする)」
 また、選択肢の結果として「成功」と「失敗」があり、これは行為Aにのみ適用される。ここでは積極策に出るか出ないかであって、積極策に出ない時には成功も失敗もないのである。
 単純化のために、積極策を採らない今の状況で得られるものをX−S、積極策に出て仲を深めたときに得られるものをX+W、積極策に出て裏目に出た時に得られるものをX−Lとする。
 は現状の関係から得られるもの、は女性と仲良くなったときに得られるもの、は女性と仲が悪くなったときに失うもの、は仲が進展しないことに対する意識である。
 Xは、現状の関係をどう認識しているか、ということであり、不仲であると感じると値は小さくなる。正の場合と負の場合、両方考えられる。
 また、W、Lは正の数とする。すなわち、女性と仲良くなることに対して何か得られるものがあり、女性と不仲になることは面白くないと考えている。そうでなければ相手と仲良くしようとはそもそも考えていないだろう。
 一方、Sは正の場合も負の場合も考えられる。正の場合は、仲が進展しないことを歯がゆく思っている場合で、負の場合には、”積極策に出る”という作業自体がおっくうで、何もしないでぼーっとしていたほうがまだマシだと思っている場合である。つまり実際には、

 S=(仲が進展しない歯がゆさ)−(積極策に出るためのコスト)

であり、普通はストレスの方が大きいが、コストの方が大きくなる場合もある。例えば積極策に出ると社会的地位を失うとか、女性が苦手で話すらできない場合である。
 また、この人が積極策を採るかどうかは、その積極策がどのくらい「成功」するか、ということが大いに影響する。「成功する」と思っている確率をPe(0≦Pe≦1)とする。当然失敗する確率は(1−Pe)となる。
 これを表にすると、以下のようになる。

成功失敗
行為AX+WX−L
行為BX−SX−S
予想確率Pe1−Pe

表:行為A・Bを行った時の「得られる量」と成功・失敗の予想確率

 ここで、「得られるもの」からどれだけの満足(効用)があるか、というものを示すものとして、

 u(*)
を定義する(これを効用関数と言う)。これは*だけのものを得たときにどれだけ満足するか、を表す。この数値は、

α>βのとき、u(α)>u(β)

を満たすとする。つまり、得るものが大きければそれだけ満足する。

2.モデルにおける行動
 さてこの時、この人は女性に対して積極策にでるかどうかを考える。ここでは、この人は「危険回避者」であるとする。すなわち、考え無しにあちこちの人に積極的に出て嫌がられるのであれば、今のそこそこ良好な関係(または無関係)を維持しよう、と考えている人である。実際は激しくナンパする人(危険愛好者)もかなりいるわけだが、「ブッコ」は極度の「危険回避者」であるので、ブッコの行動を分析する場合には「危険回避者」として考えた方がいい。また、この「危険回避者」は決して極端な例ではなく、
「どうせなら友達は多い方がいいし、なるべく穏便にことを進めよう。」
と思っている人は少なくはないはずである。
 この時、積極策に出た場合に得られる満足度は、

Peu(X+W)+(1−Pe)u(X−L)

で表される。一方、積極策に出ない場合に得られる満足度は、

 u(X−S)

である。そして、人は満足度を最大にするように動く。
 従って、

 u(X−S)<Peu(X+W)+(1−Pe)u(X−L)

が成り立つ場合、この人は積極策に出るが、

 u(X−S)≧Peu(X+W)+(1−Pe)u(X−L)

が成り立つ場合には積極策に出ない。なぜなら「危険回避者」であり、満足度が同じなら何もしないほうがいいや、と思っているからである。

以下、続く→

(00/9/24)
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