出会いはなんともさえないものである。
3本目のGBAソフト「優駿ラプソディ〜」をプレイし始めて早3ヶ月、いい加減飽きてきたので、新しいソフトを買うべくゲームショップに行ったのだ。が、ラインナップがなんとも情けない。結局任天堂はこれなのか、と言いたくなるマリオシリーズやコナミのソフトが大多数を占める棚。意気消沈とはこのことだ。しかしこれ以上退屈な時間を過ごすわけにもいかないので、なんとか1本は買って帰らねばならない。ミスタードリラーと迷いに迷った挙句選んだのが、この「風のクロノア」である。
ご存知のように、オリジナルはプレイステーションである。大好評を博し続編も発売されたほどの人気ソフトだ。が、ナムコの主要ソフトといえるような位置にはいない。パックマンを始めとするナムコのメインキャラクターの中で、主役の座を勝ち取るのはそう簡単ではない。今でもミスタードリラーの「ホリ ススム」の前に足踏み状態である。しかし、ミスタードリラーよりは面白いと思うぞ。
「風のクロノア」はアクションパズルRPGである。アクションであるのはすぐに理解できる。そしてパズル並みに頭を使う。それほど難しい。そして、小規模ではあるがストーリー性も含んでいる。基本はアクションゲームだ。ただ、様々なアイテムを駆使してゲームを進めていくから、パズル性を否定するわけにはいかないのだ。
今回の「夢見る帝国」は、夢を見ることを禁じられた人々の住む世界に送り込まれたクロノアが、人々に夢を与えるために獅子奮迅する物語である。5つのワールドに、それぞれ7つのビジョンとボス戦が用意されている。7つのビジョンのうち、アクションステージが2つあって、これらはクリアしなくても先に進むことができる。アクションステージはパズルステージと違い、頭を使うというよりはスピードが求められる作りになっていて、瞬間的な判断力が不可欠だ。それゆえ、ある意味ではパズルステージより難しい。
過去のクロノアシリーズをプレイしたことがないので比較をすることはできないのだが、おそらく過去の作品よりはパズル性が強調されているだろう。その分、頭を使って考える要素が多くなっているので、難しく思えるわけだ。だが、一度ノウハウを覚えていまえば、あとはどうってことない。アイテムの性質やステージ特有の設定などがきちんと把握できていれば、クリアはそんなに困難なことではないのだ。逆にいえば、そういったものが頭に入っていないファーストプレイでは、かなりの難易度に感じるはずだ。ようするに、難しいのは最初だけ、である。
このソフトのユニークなところは、敵が敵としての役割をほとんど果たさないところである。特別な攻撃どころか、ただ歩いていたり飛んでいたりするだけで、ダメージを食らうとすれば誤って接触してしまったときくらいだ。これらの敵は、敵としてではなく、クリアするための一種のアイテムとして配置されている。普通のアクションゲームのように無意味無造作に配置されているのではなくて、必ず意味があって配置されているのだ。つまり、こいつらがいなければ謎は解けないということである。いなくてもいいような敵は一匹たりとていない。
GBAの4本目のソフトとして何気なく購入したが、思った以上の収穫だった。ナムコはコンシューマソフトを開発する技術にたけている。それはただ単にサウンド面やビジュアル面が優れているだけではない。ユーザーの心をつかむソフトを開発する「アイディア性」が豊富なのだ。これからどういったソフトを作り上げていくのか。要注目である。 |