半世紀前に比べればかなり平和になっている現代の世界。しかし、もしその平和を裏で支える闇の組織がうごめいているとしたら―――。各国政府の中に、その組織の人間がいて、秘密裏に世界情勢を操っているのだとしたら―――。
闇の組織「秘密結社≪クロノス≫」。世界政治経済の3分の2を掌握するというこの組織には、いわゆる「危険因子」を排除するための特殊部隊が存在します。その名も「クロノ・ナンバーズ≪時の番人≫」No.1からNo.12までの12人で構成される特務部隊は、各々が1つの武器を極限まで極めた、まさに精鋭部隊。その特殊部隊に、特例のNo.13(ナンバー・サーティーン)として認められた男、トレイン=ハートネット。その暗殺能力を高く評価され、『黒猫』と言われ恐れられた男は今、掃除屋として自由奔放な人生を送っています。クロノスを抜けた男が背負う暗い過去と、「黒猫の最後の仕事」―――。
原作は、本作のイラストも担当している矢吹健太朗さんの漫画「BLACK CAT」(週間少年ジャンプ連載中、単行本①巻~⑭巻発売中)。この小説は、原作でも展開された二つのエピソードを多少脚色して収録したものです。ひとつは、物語の大きなキーである「道(タオ)」を題材にした物語「ギャンザ・クライシス」、そしてもうひとつは、掃除屋としてのトレインのプライドや過去と決別した彼を垣間見ることができる「フローラ・クライシス」。どちらも原作の本線につながっている重要なエピソードです。
さて、この「BLACK CAT」、JUMP j BOOKSでノベライズされるのはこれが2度目なのです。原作はもちろん、前作「BLACK
CATⅠ」もぜひご覧になってください。小説版は1巻完結ですのでどちらから読んでも特に問題はありませんが、やはりⅠを先に呼んだほうが面白みは増します。
そして、根っからの黒猫ファンであり僕が期待しているのは、BLACK CATのアニメーション化。過去JUMP
j BOOKSでノベライズされた作品を見てみると、「ONE PEACE」「ヒカルの碁」「テニスの王子様」と、いずれもアニメ化されているものばかり。ということは、BLACK
CATもいずれは・・・・と、勝手に期待している今日この頃です。
黒猫は一度死んで、野良になった。誰にも、何事にも縛られず、自由に生きる野良猫に。だが、彼はまだ本当の意味で自由にはなっていない。
「黒猫の最後の仕事」それを終えたとき、彼は何を思うのだろうか。 |