デーモン小暮の邦楽維新Collaboration
青山本場所
’06.2.05.「風狂の巻」・3日目(大千秋楽)

こどもの城開館20周年記念
『デーモン小暮の邦楽維新Collaboration 青山本場所』
D.C.8(2006)年は「絢爛」「開国」「風狂」の3シリーズ構成。
そのうち3シリーズ目「風狂の巻」の、さらに大千秋楽となる2月5日(日)のレポです。

出演(敬称略)
 デーモン小暮閣下(朗読・歌唱)
 三橋貴風(尺八)
 福田千栄子(地唄三絃・箏)
[黒船バンド]
 松崎雄一(編曲・キーボード)
 雷電湯澤(ドラムス)
 石川俊介(ベース)

開演。影ナレ、B.G.M.はいつものように「GEISHA FUJIYAMA SAMURAI」
D「ぶひょぶひょぶひょひょ。晴れているのに外は寒いね。そして、満員御礼。(拍手)
本日はデーモン小暮の邦楽維新Collaboration青山本場所「風狂の巻」3日目、そして全体の千秋楽、来場ご苦労である。この年中行事のその心は、閉鎖的になりがちな邦楽世界に維新の風を吹き込み、いたいけな奏者たちに・・・今回は違うが(笑)」
というような前口上から、今回は題して「名作リバイバル」で、栄誉もってエントリーせし邦楽器・尺八、十三絃筝、地唄三絃の歴史などを説明。
そして、邦楽維新Collabo.プロデューサー、面白いひとを集める天才、“Mr.風狂”三橋貴風先生を紹介。
D「こなた、邦楽維新に君臨する女王・福田千栄子、待ってましたの登場」(拍手)
客席後方中央、スポットライトに照らされ“女王”千栄子姐さんの姿。
アカペラで「ままの川」の一節を唄いながら、ステージへ。閣下に促され、再び拍手。
D「黒船バンド、まっつあん冷え性と虫を見に行こうの会(笑)は、第二部からの登場である。」
まず第一部は、地唄三絃、地唄筝曲、尺八による伝統的世界を、構えすぎることはない、と。
D「笑ってもよいと思うところでは、迷わず笑うべし。乗ってもいいかな、と思うところでは、迷わず乗るべし。(中略)呑んでもいいかもと思ったら。。。ぅぅん、外で呑むべし。建前上はな。株価を気にするもよし。大相撲の解説をするもよし。どうする隊を結成するもよし。道に倒れて誰かの名を呼び続けるもよし。(爆笑) (注:同時期、隣の青山劇場では中島みゆきが「夜会」公演中) 靖国神社に参拝・・・それはいかん。大事なのは空気を読むということである。携帯電話の電源は必ずオフにすべし。マナーモードも許さん。万一鳴るようなことがあれば、千栄子姐さんのバチが飛ぶぜ。(笑) では吾輩とはのちほどゆっくり会おう。ブハハハハ・・・」

<第一部>

1.みだれ(十三絃筝/八橋検校作曲)
2.虚空(尺八/古伝本曲)

まずは「古典曲」
それぞれを、千栄子さん、三橋先生のソロで。
そのあと、三橋先生によるトーク。

三「こんにちは。尺八でプロデューサーの三橋貴風です」(会場拍手)
それから、三橋先生による楽曲解説
冒頭「みだれ」は、八橋検校作曲。
八橋検校の亡くなった年に、西洋ではバッハが生まれた年で、もうそのころから、踊り・芝居・歌の伴奏ではない、純粋な楽器のための作品が、もうその当時あったということ。
続いての「虚空」
鎌倉時代に、禅宗と結びついたことから尺八の第二の歴史が始まっており、臨在宗の僧が夢のなかでみたえも言われぬ尺八の曲が聞えて来て会得した「霧海(むかいじ・「じ」は“たけかんむり”に“虎”)」「虚空」そして、中国から伝わった曲「虚霊」の三曲を「古伝三曲」と呼ぶとのこと。
綺麗な節がなく、派手さもないので、演奏会向きではなく、また、奏者の技量もバレバレになるということで、40代までは三橋先生も吹くことが少なかったけど、最近はむしろ好きになって吹くことも多くなったそうです。
ここで、千栄子さん登場。
福「千秋楽だから、あと10分くらいしゃべると思った。(笑)」
三「駐車場の心配はしなくていいから。(笑) キーワードは駐車場。(笑) 企画するときは2時間で考えているんですよ。(会場えーーー・笑)」
続いては「残月」
筝、三味線、尺八の「三曲合奏」が多いけど、きょうは筝と尺八での「一面一管」で。
「残月」については、千栄子さんが紹介・解説。
峰崎勾当(こうとう)の作曲で、若くして亡くなった美しい女性を偲ぶ内容。
「月の都に貴女は行ってしまいました。貴女は明るいところにいると思っているでしょうが、私たちにはおぼろ月のように遠い存在になってしまって寂しいです」というような内容な歌詞である、とか。
歌詞のある部分は、最初と最後、きょうはだいぶカットして、後の方を演るけど、中は楽器のみの「器楽曲」である。
「勾当」というのは、「検校」や「座頭」などは、幕府などに保護された、あんま、鍼灸や筝曲、地唄などなどの盲いたかたによる技量保持者の団体の「位」にあたるもので、最高位・管理職が「検校」で、次いで「勾当」であるとか。
『残月』は筝曲のなかでも最高峰にあるような、福田さんですら「人前で弾くなんて、おろおろ」とかなんとか。

3.残月(十三絃・尺八/峰崎勾当作曲)

続いて、朗読コーナー。
題材は「春琴抄」
作者の谷崎潤一郎、関東大震災後、大阪に移り住み、菊原琴治検校のもと地唄を習っていたと。
「残月」や、その娘の菊原初子さんが、モデルとなったのでは、とのこと。
ここで「自慢していいですか」と千栄子さん。
お召しのお着物、菊原初子さんの義理の息子さん・光治氏が選んでプレゼントしてくれたもの、とのことで、ステージ中央で、くるっとひと回り。観客から拍手と歓声。
(お着物の色・柄、失念。どなたかお分かりの方、補足よろしく)
そして、主人公・春琴のキャラクターを、筝・三味線で、相手の佐助のキャラクターを尺八で表現、ということで・・・

「春琴抄」 作・谷崎潤一郎
朗読:デーモン小暮閣下 筝・三絃:福田千栄子 尺八:三橋貴風

閣下、冒頭を影から読んだ後、下手から登場。
赤ベースのSYMPHONIAタイプの長衣&鯱の帽子(「夜だMONDE」スタイル?)

さて、「春琴抄」はというと・・・
不幸にして九歳で両眼の光を失い、筝・三絃に秀でた春琴に対する、幼い頃から彼女に仕えた奉公人・佐助の純愛・・・というよりは殉愛の物語。
佐助も三味線を覚え、春琴に師事することとなり、その後、子を為す間柄となりつつも、主従の関係は変わらず。
ある日、その才を妬まれた春琴は顔に、熱湯をかけられる。
「佐助にだけはこの顔を見られたくない」との言葉に、佐助は自らの両眼に針をつきたて盲目になる・・・。

春琴が佐助に三味線の稽古をつけるシーン
「トンリントンリントンチリリン!トンチリリン!」
閣下の口上に合わせて、三味線を弾かれる千栄子さん。
D「今日は、三ッの音会三代目家元・福田千栄子先生にお越しいただいています。実際に千栄子先生、息子さんをはじめ、泣きじゃくるまで指導されているそうで。(笑) きょうは、ワタクシを、息子だと思って・・」(爆笑)
千栄子さんの手本の三味線に対して、閣下の口三味線。
すると千栄子さん
「お母さん、そう弾いてます!?(爆)

そして、クライマックス。
佐助が自らの目をつぶすシーン。
D「・・・左の黒眼を突いてみた。白眼の所は堅くて入らないが、黒眼は柔らかい・・・」
閣下の語りに、思わず自らの眼を覆うお客さんの姿が、チラリホラリと・・・。
佐助が、自らの手で盲いたことを告白したあと、春琴が
「佐助、それはほんとうかい?・・・」
そう言ったあとに、静寂。
言葉よりも雄弁な沈黙。

実に50分にも及ぶ朗読。
閣下が、三度「チリ〜ン」と鈴を鳴らし、割れるような拍手・・・。

D「15分から20分の休憩。筝のチューニングで、延びるかもしれない。(笑) では、第二部で、また会おう!」

<第二部>

オープニングは「死ね死ね団のうた・(たぶん)構成員Ver.」
マツザキ様に続いて、長さ1mくらいのスティックをもった湯澤さんと、割り箸を持ち、パキンと割って石川さんも登場。
ちょい悪親父風の三橋先生は黒シャツ、黒ジャケット&サングラス。
紅いポインタを当てられのけ反るのは、MATRIXのパロディ?
そして目に鮮やかな薄い青色のドレスにお召し換えの千栄子さん、踊るように登場、歓声と拍手。

曲は・・・
ツンツクツクツン・・・と、御存知、宮城道雄「春の海」のメロディを奏でる三橋先生の尺八と、千栄子さんの筝。
そっから、すっげぇナチュラルに、尺八のイントロに移行・・・・曲は「与作」!!

1.春の海(宮城道雄作曲)〜与作(1978・北島三郎)

閣下は、客席後方の扉より登場。
衣装は![EXCLAMATION]のときの「?」
首からは、マイク、拍子木、ビブラスラップをぶら下げての登場。
D「♪与作は木を切る〜 ヘイヘイホォ〜」 福「♪ヘイヘイホォ〜」 D「♪ヘイヘイホォ〜」
客席を、練り歩きながら歌い、拍子木を打ち、ビブラスラップ(カァ〜〜〜〜〜という音を震わす打楽器)を鳴らす閣下、忙しい。(笑)
サビの部分、会場から、大歓声と拍手。
間奏での口上・・・
D「フランスにシャンソンあり。アメリカにJAZZあり。そしてニッポンに演歌あり。これほどまでにニッポンの心を歌った歌があったでしょうか、いやない」
会場「・・反語。」(笑&拍手)

「ヤホウ!グッイブニング!・・・」からは「ヘイヘイホォー」「トントントン」や「エチゼンクラゲ」「武勇伝デンデデン」とか。
そして「どうするどうする」という「絢爛の巻」2日目で話題に上がった“どうする連”の煽り文句。
「どうするどうする」を繰り返し、シャウトする閣下、挙句。
「変な宗教!」(笑)
D「楽しんでるかー!(会場イエー!) さぁ、第二部は、第一部の二倍やるぞ!(拍手)六時間コースだ。(笑) ここでやめても、誰にも訴えられないだろう。(笑)」
三橋先生、千栄子さんを紹介のあと、「待ちくたびれた」黒船バンドのマツザキ様、石川さん、湯澤さんを紹介。
湯澤さんがステージ入場時に手に持っていた巨大スティックに・・・
三「それ、実用品?」
R「とんでもない!(笑) 実用品、これです。(と、石川さんが手にしていた割り箸) 昔「信者の集い」のアコースティックでみんなに「音でかい!」って言われちゃって、俺、菜ばしでやってたんだよ」(会場・へぇ〜)
D「(巨大スティックで)先生、それ、吹けませんかね?(笑)」
巨大スティックを手に、尺八を吹く姿勢の三橋先生。音・・・出るわきゃない。(笑)
でも、身長の半分くらいの長さの尺八は、あるそうです。
で、三橋先生、尺八に、悲しいことが起こったと。
三「実はね、また割れちゃって・・・」
D「相撲の稽古の?」と、股割りを始める閣下。(笑)
三橋先生、一昨年の邦楽維新Collabo.でも、尺八が割れたことがあり。
この季節は非常に乾燥していた竹が割れやすく、新しい尺八にとって最初の冬を越せるかどうかが大事で・・・「発展途上国の赤ん坊みたいですね。」と閣下。(笑)
裏(管の内側)までひびが入ってしまったら完全に駄目になってしまうが、穴の上下にひびが入っただけで、裏までひびが入ってなかったので、10号の“手ぐす”でギューっと巻き、なんとか事なきを得たとか。
で、今回、なぜか「虫が知らせて」その尺八の予備を持ってきてたのでパニックにならずにすんだ・・・というところで、後ろで、「虫捕り」のジェスチャーをする黒船バンドのお三方。(爆笑)
三橋先生とのお話、ひと段落したところで、
D「そうそう、千秋楽だから・・・」
と、大きめのビンとペットボトル、それに紙コップやらグラスやらが登場。
客席へ振る舞われます♪
三橋先生も「こどもの城だから、口に含んで、外に出てから飲み込んで」と。(笑)
昨日のアンケートで「よく眠れました」というのがあったと、三橋先生。
実際に、Zen Musicとして、尺八はHealing効果のある音楽として欧米では知られているとか。
それに対して、筝は・・・
福「あまりないですね」と。
筝が流れ、楽屋でお弁当を食べていたとき、なんか和食屋に来たみたいだと思ったと閣下。
テープで筝の曲が流れるから、お正月は暇なんですという千栄子さんに。
三「お正月忙しいひとって、20代のひとばっかりですよね。ホテルのロビーとかで、生演奏している」
一瞬不穏な空気(笑)が流れ・・・
福「(冗談ぽく、ひがみっぽく)20代のひとなんですか。へぇ〜」
D「それは20代である必要性は?」
三「ギャラが安いから」(会場爆笑)
福「あ。そうですよね。(笑)」
ここで、しばらくインストルメンタルで・・・・ということで。

2.信天翁(ALBATROSS) (BD8('91)・RX)

マツザキ様のキーボードから、千栄子さんの爪弾く筝の音が加わる静かな出だし。
石川さんのベースが入り・・・湯澤さんのドラムと筝のメロディによるブレイク!
オリジナルではルーク参謀がギターを弾いているパートが、千栄子さんの筝による演奏になるのですが、ルーク参謀のそれが「泣きのギター」と呼ばれているのに対し、「情念の筝」とでも申しましょうか・・・。
マジ、鳥肌モンでしたよ。。。

松「これ実は福田さんの選曲だったんですよね。最初、別の曲の予定だったんですよね」
福「すごくやりたくなかったんですけど、三橋先生が『冬のソナタ』やったらって」(笑)
松「挙句に『「愛はかげろう」も合体させたら』って。そしたら、福田さんから電話がかかってきて『私やりたくないんで、RXの“A”から始まる曲をやりたいんで』って。おかげでこんな素晴らしい演奏になりました。」
会場大拍手。
千栄子さんと入れ替わりに、三橋先生登場。

3.Black Magic Woman('70?・Santana)

マツザキ様のキーボードから、湯澤さんのドラムセット・・・にセッティングされた和太鼓(サイズ的に桶胴太鼓くらい?)を、ドラムスティックで叩く出だし。
いやもう、とにかくこちらは「格好いい」の一語につきる。
叙情的なサビから、疾走感溢れる展開、そしてまたサビの部分へと。
湯澤さんの叩く、和太鼓のリズムがいいアクセントにもなっている。

曲が終わり、石川さんの「ィエーーイ!」から、三橋先生による曲解説。
前日時間が押していたので曲紹介を割愛し「演歌を有難う」と言ったら、ほんとに演歌だと思ってたひともいたらしいけど、ほんとはSantanaの往年の名曲「Black Magic Woman」(通称ブラマジ)で、音階が尺八的で、「サンタナ前世日本人説」というのも・・・ないとか。(笑)
三「それではここでもう一度お二方をお呼びしましょう。福田千栄子さん〜」
・・と呼ばれて出てきたのは、デーモン小暮閣下。(爆)
なんかこのパターン、「復活祭ミサ」の、中野サンプラザとか国際フォーラムでも見たような気が。(笑)
閣下は金色の蝙蝠羽根風冠に、金飾×青系の御衣装
遅れて黒のチャイナ風にお召し換えされた千栄子さんも登場、艶姿に歓声。
D「『Black Magic Woman』聞いててね、♪・・・好きさ〜、とか、♪あの子ぉどこにいるのやら〜、とか合っちゃうんですよ」
三「でも僕も、どの音楽でも言葉が浮かぶんですよ。初日に千栄子さんに『演歌』って言われたし・・・♪タッタラタラ〜 タッタラ『でしょう〜』みたいな」(笑)
で、実際にやってみましょうよ、ということで、リズム隊の音が入りつつ、尺八を吹く三橋先生。
♪ファッファッファファァ〜 ファファファ ファファファ 
 『でしょうぅ〜〜♪』
会場内、大爆笑&大拍手。
「一番拍手多いですよ」と千栄子さん。
「気づかないうちに、五木ひろしになっちゃう」(笑)と三橋先生。
三橋先生、30代に5年ほど、五木ひろしの専属として、コンサートなどで「指し」のコーナーがあったとか。
また一時期は、演歌のレコーディングばかりの日々で、各社競作の「浪花節だよ人生は」も、全部吹いたとか。
ここで「浪花節だよ人生は」のイントロを吹く三橋先生。
♪飲めと 言われて・・・素直に・・・飲んだぁ〜
歌詞を確認するかのように歌われる閣下。
D「これ、三橋貴風バースディコンサートで、やりましたねぇ」
三「ああ、お台場でやった」
D「(千栄子さんに)弾いてた、弾いてた。」
三「(千栄子さんに)他人事みたいに。(笑)」
D「それで翌日強引に邦楽維新Collaborationの番外編やったんですよ」
三「4日前に決めたんですよね。お酒飲みながら」
D「空いてるんだったらやっちまえって。客にブーブー文句言われながら。」
福「あのとき、三人とも大丈夫だったんですけど、『どうせ、まっつあんが駄目だろう・・』って」
D「まっつあんに電話かけて、駄目だったらあきらめよう、って言ってたら、『あ、大丈夫ですよ』」(笑)
三「急遽、チラシもなくって。インターネットで告知だけして。ラブジェネレーションでの最後の公演だったんですよね。あのあと、閉まっちゃって。」
D「つぶれたともいいますがね」(笑)
三「それでこのシリーズどこかで出来ないかな、と思ってたら、うち(青山こどもの城)の主催でって言ってくださって、それが今や8日間も」
D「良いところに話が行きました。アンケート、毎日ご苦労。読んでると、遠くから来てくれているひとも多くて、どこそこにも来て下さいって書いてあるけど、言っとくけど、呼べ。」
三「いやほんとに」
D「我々は呼ばれれば行くんだ。ただいろいろ経費がかかるんだ。だから、市とか県の文化会館、×××××公演、いっぱいやってるだろう? 来て下さいという前に、市の文化局とかに電話をかけてだな、『あなたたちのやってる公演はなんですか。あんな×××××のばかりやって!いいのがありますよ』って、我々のことを宣伝する」
三「市とかの自主公演って、だいたいメニューみたいにリストがあって、そこからこれとこれみたいにやってるんですよ。ほんとにホールの自主公演って難しいんですよ。でもそれなりの予算さえあればやりますよ」」
昨年夏、埼玉県三芳町・コピスみよしでやった「さきたま夏の怪奇譚」も、そんな公演だったと。
D「あれは、三芳町?埼玉県?からの税金でギャラをもらったわけだが、君たちの住んでいる街の税金が、×××××ものに使われている。君たちもオンブズマンになってチェックしてくれると良い」
三「たとえば四国で三公演くらいまとまれば行けるし、単発でも条件次第で行きますよ。自分でプロデュースしたいんだけど、とてもじゃないけど、本業が上がったりになっっちゃうんで。」
D「本業じゃないんですか?」(笑)
三「いや、本業ですけど(笑)。仕込むのにも結構時間かかりますからね」
16公演目でパッケージはいろいろあるし、主催公演で呼んでもらえば行きますと。

続いて、ようやく福田千栄子さんのほうに話が。
「ちぃちゃーん」と客席に呼ばせたあと、三味線のバチのはなし。
千栄子さんも、ゲネプロのときバチの端が欠けてしまい、セロテープ(!)で応急処置したとのこと。
福「違うのを持ってきても、また割れちゃうんじゃないかと・・」
D「あぁ〜。相撲の稽古のひとつですね」
また、股割りをはじめる閣下。(笑)
また初日にバチは象牙製で「アフリカ象なの?インド象なの?」という問いに、お琴屋さん(通称モリモリ)がひとこと「アフリカです。」と答えた・・・という話を受けて。
初日の帰り、車でモリモリに送ってもらうときに、モリモリ曰く
「先生お疲れのとき申し訳ないんですが、ワシントン条約というのは歴史が浅くて、本当はインド象のほうがいいんです。でも宗教上の理由からインド象のは輸出できないから、アフリカ象なんです」とのこと。
義太夫三味線や山田流などで使うバチのほうが、巾が狭く、その分安いと、だから「割れちゃったバチ、削って山田流のひとに売ればぁ」なんて話をしつつ。
でもなんでアフリカよりもインドのほうが良いんだろう・・・みたいな話をしていたところで振られた超リラックスモードの石川さん。マイクを取り・・・
X「カレーはインドだよな。」(爆笑)
D「スリランカとかにもあるよ」
X「でも、アフリカカレーってないよ」
D「そういう名前のはないけど・・・それらしいターメリックとか使ったのはあるんじゃない?」
X「アフリカ行きましたよね?何が美味かったですか?(笑)」
D「食い物ですか!?(笑)・・・ケニヤでね、もち米を細かくして固めたものが・・・」
X「もちだぁ。それ」(爆笑)
ベースにも象牙で使われている部分はあったけど、今は牛の骨になっているみたいな話。
福「ギターのピックは、象牙ないんです?」
X「べっ甲はありますけど、象牙はないですね。堅すぎて。でも象牙のピックつくったら、ロックギタリスト、投げられないでしょうね。(笑)」
D「三味線も、投げる用のヤツ作って。(笑) ここらへん(マイクスタンドを指して)バーーーっと付けて」
X「“福田千栄子モデル”とか、楽器屋さん行くと売ってるんですよ。(笑)」
ここで千栄子さんが・・・
福「裏で石川さんが雑誌とか見てて、閣下と着物の女性が写ってて、『なんで福田さんがいるんだろうなぁ』って言うから『何々?』って見たら『福田さんじゃなかった。邦楽維新モードだから、全部福田さんに見えちゃう』って、見たら、水前寺清子さんなの。」(会場爆笑拍手)
X「そのあと裏でボコボコに殴られましたよ。(笑) 土下座して謝りました。(爆笑)」
それから千栄子さんが三味線を弾かれるときにお尻の下に敷いているもの(ひもで三味線の胴をとめて、固定するために使う)から『新しい器材』の話へ。
今回、初めて器材に「山彦」というピアノなどにも用いる集音マイクを導入した、という話題から・・・
三「『山彦』もいいけど、『琴マイク』っていいよねって。四股名にいいんじゃないかって。(笑)」 
閣「(場内アナウンス風に)東方、琴マイク〜。(爆笑) イギリス出身、佐渡ヶ嶽部屋。(笑)」 
三「本名は“マイク”っていう。(爆)」
閣「だったら、琴欧州だって、琴カロヤンでいいのにね。(笑)」 
(注・琴欧州関=本名.:カロヤン・ステファノフ・マハリャノフ) 
三「『マイク』って字が浮かびますよね。『舞の海』の『舞』に、『苦しむ』(爆笑)・・・・『天狗』の『狗』かな。舞うように、天狗のように」 
閣「はぁ、『舞狗』 いいねぇ。佐渡ヶ嶽親方に言っておくよ。本名が『マイク』ってやつを入れて。(笑) でも、一部屋一外国出身力士だから、カロヤンが辞めない限り、マイクは佐渡ヶ嶽部屋に入れないから。佐渡ヶ嶽部屋でないと『琴』付けられないし。」
すっかり場が和んだところで・・・
D「さ、やろうか。また残月、やってもらおうか。(笑) 千栄子先生が、今も若いけどもっと若いころ、ミュージカルスターを目指していたと。邦楽維新Collaborationをやるときも、ミュージカルぽいものをやろうと。6年前のときも・・・」
三「あれはねぇ・・・」
D「(長くなりそうなので)いいですいいです、もう。(笑) あのときは『エビータ』をやったんだね。今回は新作ミュージカルでやろうということになって。そういえばこのミュージカルは、最初は青山劇場でやってたねぇ。
・・・『いいかいシンデレラ、奇跡は起きるんだよ』

4.奇跡は起こる〜Deatiny リプライズ
(2003初演・ミュージカル「シンデレラストーリー」より)

尺八の主旋律に、筝が軽やかにリズムを刻み、そして黒船バンドの演奏、素敵ぃ〜!!
このメンバーで、「奇跡は起こる」が聴けるとは、まさに奇跡。
途中、シンデレラの台詞は千栄子さんが担当。
福「あなたは、魔法使い?」
D「そう呼ぶひともいるなぁ。だが自分としては“愛の魔法使い”と呼ばれるのが好きだ」とか、
福「あのもし出来たらこの服を・・・」
D「素敵なドレスに変えるんだな?簡単なことだ」
といった名場面を再現。
再現しつつ歌いつつ、閣下は客席を右へ左へ、ときに客(関係者?)をいじりつつ、子供に愛嬌を振りまきつつ。
美しい筝ソロのとき・・・三橋先生はミッキーマウスのお面を、湯澤さんはミニーのカチューシャを装着。(爆笑)
そして・・・・閣下の金のコロナ冠をかぶる千栄子さん。
福「ワタシ、イッタイ」
D「私の趣味に反するが、そういうネタが良かったんだろ?」
福「ハイ!」(爆笑)
♪ウォゥウォゥ〜・・・ウーーー・・・でひとしきり盛り上がったあと、シンデレラ&王子のラヴラヴデュエットナンバー「Destinyリプライズ」へ。
閣下王子&千栄子シンデレラの、美しいハモり。
客席では有志が配ったルミカライトが左右にこれまた美しく揺れる。

歌のあと、「なぜ地唄とミュージカルナンバーで歌い方が異なるのか?」と閣下から千栄子さんに質問。
「ミュージカルは役になって、そのひとに合わせてやりなさい」と言われているから、とか。
で、「開国の巻」で若い子たちが「雪」をやったけど本来は若いひとが出しやすい曲ではないけども、という閣下や三橋先生の問いに・・
福「ステージに上げて曲をやらないと、そのひとなり育っていかないから、私も良いことだと、若い者ながら(笑)思います」
D「千栄子さん、どれくらい若いころに、『残月』とか『雪』とかやったんですか?」
福「邦楽維新が初めてかな。(笑)」
三「開きなおちゃって。(笑)」
D「家元なのにね。(笑)」
で、前日、前々日に来た人には内緒ね・・・といいながら、大千秋楽、ここで1曲追加。
D「三橋大師範と、福田家元が揃ったら、この曲でしょう・・・」

5.ZUTTO(DC5(2003)・デーモン小暮閣下)

D「三回くらいしか練習してないのに、なかなか上手くいったね。自画自賛。」
会場拍手。
D「最後の曲だぜ。(会場エー!)やかましいわい。(笑)」
三「もう7時45分ですよ」
D「舞台監督も言ってたけど昼夜公演と同じだからって。『こんにちは』で始まって『おやすみなさい』で終わる。(笑)」
三「値段も倍でもいいかもしれない。(笑)」
D「11日間も通ってるんだよ!? E-mailとか便りで『絢爛』終わりました、『開国』終わりました、1日休めますねって・・・リハやりに来とんねん!(笑) ひとつ終わったら、すぐ次に取り掛からなきゃいけないから」
三「初日は混乱しましたよね。あ、これあっちだー、とか」
D「いろいろな出演者の都合もあるから、我々1月4日からリハやってるんだよ。つい先週まで『ウヘヘヘ!』(笑)『殺す!』『手がつった、足がつった』ってやってたのに、、もう翌週には、
♪テンテテテテン(←口(くち)筝で「春の海」) まだなんにも整理整頓してないから・・・これからようやく、正月が来ますよ。(拍手) 打ち上げ行って、飲んで、休んで・・・それで太って(笑)、『ほーら』って言われるんだ。」
三「4時間ですからね」
D「昼公演なのに駐車場心配し始めたら大変だよね。(笑)」
三「物事は、エスカレートするからね。8日間やれるようになるとはね」
てきぱきやって、打ち上げ行こう、と。
千栄子さん、1曲増えたのでその練習の為、2時間くらいしか寝てないけど、頑張って起きててね・・・と言いつつ。
D「吾輩が真っ先に寝てんの。(笑) で、起き上がって『さぁ飲むぞー』ってときに、みんな帰り始めて。(笑)」
本編最後の曲、ノリノリのナンバーで「立ち上がっちまえ!」と・・・。

6.Burn('73・Deep Purple)

尺八、筝によるソロも入りつつ、閣下のシャウトも心地良い・・・
D「ではアンコールのトークでまた会おう!」

アンコールの拍手のなか、すぐまもなく、閣下、三橋先生、千栄子さん、黒船バンド登場。
D「アンコールご苦労である。まだ聞きたいのか!?(会場イエー!!)大相撲トーナメントに録画をはやく帰って見ようと思ってるのに。(笑)」
そして各人、「CMのコーナー」
三橋先生は京都・横浜で行われるコンサートのことを、千栄子さんは高円寺のライブハウスでのライブのことをそれぞれ告知。
続いて湯澤さん、その間にアフロのカツラをかぶる。
本日、3つめの仕込み。(笑)
R「邦楽維新、おもしろい!仕込みがいがある!(笑) CANTAの4枚目のアルバム『百歌颯鳴』、まさに今朝出来上がりました!(会場歓声拍手) 今朝、『やっとマスタリング終わりました』ってメールが来ました」
D「百花繚乱?」
R「百歌颯鳴」
D「壮平?」
R「松崎壮平?」(笑)
(注・松崎壮平=まっつあんの弟様・陶芸家・よくネタとして出てくる)
D「聖飢魔II終わって、28日だかにもうレコーディングやってたらしいじゃないですか」
R「やりましたよ。フォーラムの次の次の日。(笑) フォーラムでルークから『曲これね』って渡されて。(爆笑) 朝まで飲んで、夜中に起きて、曲録って」
D「無謀だ・・・」
R「無謀さをばらまいちゃったの、あなたですよ」(笑)
D「無謀ウイルス?(笑) そうかなぁ〜。」
R「違うかなぁ〜。」
D「みんなも、相談のうえでやってるんだけどねぇ〜。」
R「そうだよねぇ〜。(笑) 俺もそう思う」
D「吾輩がしゃべってなくても、長くなるんだもん」
R「間違ってなーい。」(笑)
続いて振られた石川さん。「把握してないからいいっす」と。
でも、実は国際フォーラム前日京都でLiveをやり、その後年内はカウントダウンライブを含む3本のLiveを、年明けからも数本別メニューでLIVEをこなしている石川さんも、もう十二分に『無謀』かと。
まっつあんも「いいです。」と。
D「さ、行くぞ。これ終わったら、酒だ。(笑) それじゃ、邦楽維新Collboration恒例、三橋貴風大師範作曲、言われるまで出演者もそのことを知らなかったりする。(笑) Blue Mountain!!」

ENCORE
・BLUE MOUNTAIN!

毎度の軽快なメロディ。
千栄子さんは、筝→三味線→筝と、なかなか忙しい。
D「ビートに乗せて古典の名曲を!」
と言って、三味線&尺八。(すみません、元歌わかりません・・・)
ここで閣下が
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の『青山』ぁ〜〜」と謡う。
最後の締めでまた・・・
「衣かたしき ひとりかも寝む〜〜」からシャウト!
閣下、各出演陣を今一度紹介、拍手。
D「デーモン小暮!(会場拍手と「閣下ぁ!!」のコール) それでは青山本場所終了!次回も来場、待ってるからなぁ〜〜」と歌舞伎口調で言って、手にした拍子木を、チョーン、チョン、チョン、チョン・・チョン!と打ち鳴らし、
D「では、また会おう!」

黄金メンバーによる濃密な4時間超え。
もう、時間の過ぎるのも忘れて、たっぷりと楽しませてもらった大千秋楽でした。