眠るとき、いつも思い出す。
自分と同じ顔をした
自分と同じ存在がいたことを。

自分自身との戦いを命じられ
生きるために戦って
そして消えた。


生まれてから一度も出会ったことはなかった(分けられて、の方が正しいのかも知れないが)自分の半身は、何を思っていたのだろう。何を求めていたのだろう。


優しく、誰からも好かれたというその片割れが何を考えていたのかなど、知りたくもないが。
知りたくもない。
知りたくもないって言ってるだろ!


(まあまあ落ち着いて。怒ったところでこの状況はどうにもならないよ)

なぜなら

(あの頃は特に何も考えていなかったよ。君を殺すことくらいかな)





知りたくなくても、知ってしまうから。
正確には語りかけてくるから。





元々一人であった彼らは、片方が倒されたとき、その能力ごとすべてもう片方に吸収された。
何がどう働いたのかはよく知らない。
ブルーが気がついたとき、目の前の殺すべき相手はもう消えていて、頭の中で声がした。

元は一つのものだから、あるべき姿に戻ったんだろうね。

何故性格まで統合されなかったのかと彼は考える。
このルージュと来たら彼の頭の中に堂々と住み着き、あれでもないこれでもないといちいち口を出してくるのだ。
彼にとってやりにくいことこの上ない。







しかしそのおかげで最近ブルーは性格が良くなったと仲間たちには評判だったりする。







「いちいちうざい、お前。出てくるな」

(僕は今の状態で特に不満はないんだけどなあ。快適だしね、意外と)

「何でそんなあっさりこの状況を受け入れられるんだ!?」

(仕方ないよ。人生そんなものでしょ)

「・・・諦めてないか?お前、色々。今まで辛い人生歩んできたのか?」

(そんなことないんじゃないかな?学院生活は似たようなものだと思うし)

「俺の学院での生活は、自分で言うのもなんだがろくなもんじゃないが。むかつく教授をエナジーチェーンで掃除用具室に閉じこめて、超風食らわされたことがある」

(ああ、僕むかつく教授を停滞のルーンで黙らせて、超風食らったことあるよ)

「・・・」

「・・・」

「お前もう少し自分のキャラとか考えろ」

「君もね」

「俺は良いんだよ、作ってるから」

(結構バレバレだけどね)

「うるさい。お前、穏やかで親切キャラなんだろ。自ら壊すなよ」

(何を言ってるの)

「何が」

(君が親切を装うような人間なのに、どうして僕が自分を作ってないって言えるんだい?)

「俺より嫌なヤツだなお前!」

(お言葉ですが君ほどじゃないよ!)








実は性格のかなり悪いそいつは今自分の中で、それは決して抽象的な意味ではなく、確かに生きている。
少なくとも退屈はしない・・・が大変迷惑なので早々に出ていって貰いたいと彼は一人思うのであった。












ねえねえリュート。

ん?どしたクーン。

なんかね、こないだからね、夜になるとブルーの部屋からぶつぶつ独り言が聞こえるんだよ。なんか病気かな?

ああ、それはきっとブルーのヤツ疲れてるんだ。人間疲れてると独り言が多くなるもんさ。

でもなんか一人で怒鳴ったり、驚いたりしてるんだよね!

ああ、それは病気かも。

聞こえてるぞお前ら!!!






おわり


ブルージュ、フュージョンしたとき(違)喋ってましたよね。
普段も喧嘩してるんじゃないですか!妄想です。
傍目から見れば怪しいですが(笑)。
クーンとリュートとゲンさんには本性バレてるといいなあ、ブルー。

▼もどる