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一日の始め、一番最初に耳に飛び込んでくるのは彼女が駆けることによって巻き起こす金属音、そしておはようございます!と低血圧とは無縁の弾け飛ぶ声。 この儀式で彼の朝は始まる。 はずなのだが。 その日はそれが違った。 彼女の姿が見えたのは、朝食もすっかり出来上がったころ。 周囲の人々に寝坊だ寝坊だとからかわれ、すみませんうっかりしちゃいました!と笑う彼女は、普段となにも変わらないように見えた。 いつも通りの、よく笑う元気な彼女。 しかしその様子を黙って見ていた彼は急に席から立ち上がり、つかつかと彼女の元に歩み寄る。 そして、 問答無用で額に手を当てた。 そして、ため息を一つ。 「セシル」 「はい!」 「寝てなくちゃ」 「だ、大丈夫です!ちょっと疲れちゃってて!」 「だって、今だいぶ熱があるよ。きちんと休まないとだめだよ」 「でも、私にはお仕事がありますから!」 ますから!と胸を叩きかけ、急にくしゃりとバランスを崩しかける。 そんな彼女をいつもの彼では考えられないほど軽々と支え、 「セシル」 彼はただ彼女の名を繰り返す。 しかし、ただそれだけだというのに、彼女の言いかけた言葉も周囲の人々のざわめきも一瞬で切り捨てられる鋭さを持っていて。 命令が下される。 「寝なさい」 「は、はい!」 びしりと綺麗な敬礼を決めて、そ、それではお先に休ませていただきますっ!と去っていく彼女と 直前までの突き刺さるような雰囲気から一変して あ、皆さん先に食事始めててください僕ちょっと様子見てきますコーヒーの人はミルクここに置いておきますからね と微笑んで彼女を追いかける彼を呆気にとられつつ交互に見比べるばかりで食事どころではない彼らの中で、ジョアンがぽつりと呟いた。 「やるねえ、城主様」 |
普段は立場の弱い(またはやる気のない)(もしくはヘタレ)男がたまに見せる攻め気 というMOE!でした! 立場が弱い、そうか!トーマスだ!(笑)と思い立ち、書き殴ってみました。 決めるときは決めるんだ城主様!頑張れ亭主関白!(意味不明) しかしちいともMOEないのはなん(以下泣きながら自主規制) ビッグバードさんリクエストありがとうございました! |