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偶然ダルマスカに立ち寄る仕事があり、飛空挺乗り場から降りた彼を出迎えたのはよく見知った少年と少女であった。彼らは少し照れたように笑顔を向けて、そこに立って手を振っている。 自分がダルマスカに寄るということすら伝えていないはずであったし、そもそも自分の姿はあのときとは違う鈍く光る銀の鎧姿である。 自分はもはやダルマスカの人間ではないのだから彼らにも迷惑をかけてはいけないと黙ってやってきたはずなのになぜ。 ラーサー様から連絡いただいたんです バッシュのことだから意地張って俺たちになんも言わないだろうってわざわざ手紙くれたんだ 時間はわからなかったんですけど、とにかくここにいれば会えるかなと思って 今日会わないと意味ないしさ 意味ないことはないけど、せっかくだしね しっかしその鎧重そうだなあ!蒸れないか?それ そういえば今までのおじさまの格好と正反対ねえ たまには袖なし半ズボンの格好に戻りたかったりする? わいわいと自分の横に張り付いてあっちへこっちへと飛び回る会話を聞きながら、男は世話を焼いてくれた自分の幼い主人に感謝する。 そして最後に分かれたときから見た目は多少大人びたものの、なにも変わらない二人に笑顔を返した。 自分の表情は伝わらないけれども。 大通りを歩けば目立つからとダウンタウンを歩いていると(それでも目立つことには変わらないのだが)、いつのまにか何処かに行っていた少年が駆け戻ってきて、少女の袖を引っ張った。 そのままお互いになにやらこづきあいながら相談していたが、なにか解決したらしく、きゃあきゃあ言いながら駆け寄ってきた。どうしたのかねと聞く前に、はい、おじさまと有無を言わさず渡されたのは橙色が鮮やかな花束。 なぜ花束?なぜ自分に? 驚きのあまり声をなくした男に、少年と少女は顔を見合わせ、同時に言葉を発した。 だっておじさま今日は何の日? それくらい知ってるだろ?いくら仕事人間だからって ヴァン!そういう言い方しないの! はいはい。ま、とにかくさ、俺たちからだからさ 受け取ってください なんで固まってんの?あ、なんでオレンジ色の花なのかって?そういうこと? オレンジは疲れを癒す色なんですって!おじさま、お忙しいだろうと思って あんまり働きつめて体壊すなよ?もういい年なんだし 毎日毎日なーんにもしないでぼんやりしてるヴァンなんかより丈夫ですよーだ。ねえ? なんにもしてないことないだろー!? してません−! 男はしばらくのあいだ目を丸くして花束を見つめていたが、早くも追いかけっこが始まってしまった二人に視線を移す。二人分の笑顔が彼に向けられる。感謝のこもる咲き零れる笑み。 男も柔らかに微笑んだ 「それで、結局何の日だったんだ?」 「わかってなかったのかよ!!」 |
父の日でした(ネタバレ) ダンディなおじさまがちょっとドジ起こしたりMOE!でした。 ドジっ子というかアホの子になっちゃいましたが、将軍はいいおじさまだと思います。 もっと年いってるのかと思いましたが意外に若かったです。まあ平均寿命短そうですしね、イヴァリース(そういう問題か) リクエストありがとうございましたー! |