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「なんという愚か者よ!」 そのとき、 敵陣の中心で怒りが爆発しました。 「おぬしがそれほどまで愚か者であったとは!なんという馬鹿者と我は契約を結ぶなどと早まったことをしてしまったのだろうな!?」 言わせておけば…!それは俺の台詞だ、このは虫類め!俺だって出来ることならお前のように何を根拠にだか無駄に偉そうなドラゴンと契約なんぞしたくなかったね! 「は、は虫類だとこの猿人が!この我を捕まえてそこら辺のヘビやトカゲと一緒だとぬかすか!?」 ヘビやトカゲの方が目に優しい分お前より上だね!大体なんだその下品な色は!?頭の先から尻尾の先まで真っ赤だなんてお前はなんだ!?なにを狙ってるんだ!?レッドカードで退場したいならあとでとは言わず今退場しろ!すぐ退場しろ! 「これだから猿はせっかちでいけない…退場する前に焼き殺してやるからそこに立つがいい!」 誰が黙って殺されるか!火トカゲの分際で生意気言うなよな! 「…声だけでなく思考も奪っておけばよかったわ!」 そもそもの原因がなんであったのかは、最早彼らにも分かりません。 気がつけば周囲一面帝国軍という状況で、赤き竜はその背に乗せていた男を振り落とし怒鳴りつけていて。 売り言葉に買い言葉、自らの剣を地面に突き刺し掴みかからん勢いで竜に向かって全身で吠えていました。 しかし可哀想なのは彼らの一応の仲間である男と女と少年でした。 それが二人きりの草原であるならいいのです。 いくらでもやってくれてかまわないのです。 しかしここは敵地のど真ん中。 一番の戦力である彼らが働かずにどうしようというのでしょうか。 目を失った男は気がつくとなんだか涙を流していました。 一人と一頭の喧嘩をその目に映すことは出来なくても、やってることは飛び交う怒号で分かります。 男の声は聞こえなくても、その凄まじい気は伝わります。 これが元とは言え一国の王子と、誇り高きドラゴンのすることかと思うと、知らず知らずのうちに涙が流れます。彼の頭上を飛び回る妖精もさすがに哀れんでどこで拾ってきたのかハンカチを渡しました(しかしそれは何かの血で染まっていたりしたのですが) とにかく、あの二人を助けた方がいいよと少年が酷くまっとうなことを言い、 巻き込まれる恐怖と戦いながら重い腰を上げ、喧嘩現場へ近寄ろうとしたとき、 彼らは見ました。 彼らの元に敵軍がなだれ込んでいく様を。 時はすでに遅かったのです。 しかし そのあと見たものは、 男に襲いかかる敵兵の集団を自らの吐き出す圧倒的熱量で消し飛ばすドラゴンと、 竜の翼を狙った弓兵の首を果物か何かのように容赦なく切り落とす男の姿でした。 彼らは返り血を浴びながら同時に叫びました。 咆哮と共に灼熱の炎を吐き出して。 声なき声で怒りと共にその剣を振り下ろして。 邪魔をするな! ふと気がつくと、彼ら以外に立っているものはいませんでした。 視線を戻すとどんな奇跡が起こったものやら力一杯いちゃついている一人と一頭が見えたりしたのですが、それは目を持たない男と何を見たところで何も関係ない女とお子様にはどうしようもないことなのでありました。 男は静かに泣きながら、天を仰ぎました。 世界が滅びてもいいや、もう。 かくして彼らの旅は続きます。 |
いつでも喧嘩しているけれどもいざとなっても喧嘩している というMOEでした。 DOD遊んだので!とはしゃぎました。無駄に(笑)なんだかレオ様好きかも知れない…!というか好きだ…!レオ様ー!(錯乱)。王子はその後「嘘だよお前の赤は愛と情熱の赤い色だよ」などと口説き文句を言うことでしょう(笑) 梅田さんリクエストありがとうございました!あ、この小話を書く際に梅田さんのDOD小説を力一杯堪能させていただいたこことをここに明記致します(笑)。 |