セブンスセンス

オリジナルイレブンと呼ばれるものたちに深く関わるには何かしらの才能が必要だというのはBSAA隊員の中で有名な話である。それがなにかをはっきりと答えられるのは本人たちだけだという。なぜなら本人たち以外に聞くのは物理的に難しいことが多い。




シェバはオリジナルイレブンを2人知っている。

ひとりは行くところウィルスは壊滅し船が沈むとBSAAのベテランも含めてある種の畏怖を持って語られる人物だ。
彼女は、私が言うのもおかしいかもしれないけれど、と前置きをしてシェバに言ったことがあった。
あなたは自分が思うよりも大変な経験をしてるのよ。誤解しないで、同情じゃないわ。
あなたには才能があるわ、自信を持って。
画面に映ったかの人は普段と変わらぬ生真面目な表情でシェバにそういうと静かに通信を切った。
そして彼女の言う才能とはなんなのか、シェバにはわからなかった。







ひとりは行くところウィルスは壊滅し街が消滅すると新人BSAA隊員の中で伝説になった人物だ。
彼は信念の元にすべてをなぎ倒し、粉砕しながら突き進み最終的には彼が勝つ、生命力に溢れた人物であった。記憶喪失になっても任務をこなしたという噂がシェバの耳に入ったときも、まったく不思議には思わなかった。彼ならばやりかねない。
そんな話を聞いてからどれくらいたったのか、お前宛にお偉いさんから連絡だぞといわれ出てみれば、かの噂の人であるとは誰が思おうか。

「トライセルの残党が闇取引を復活させたという情報が入った。俺はこの事件の関係者である以上最後まで責任を持たないとならない。そちらに向かってすぐに調査をするつもりだ。君には俺のサポートとしてついてもらいたい。実績もある君が適任だと思う」

突然の元相棒からの連絡に、シェバは頭を軽く振り混乱から復活しようとした。
BSAAの最大の特権を持つ人物。記憶がなくなって、いつのまにか戻って、世界のバイオテロと戦って、そして突然連絡をよこしたのだ。(記憶喪失中酒浸りであったとの情報も情報通の同僚から耳に入っている)何年ぶりかの通信は突然、何の前触れもなく、久しぶりだな、で始まり明後日の昼にはそちらにつく予定だ、で終わった。なにか質問はあるか、と続いただけいくらか昔よりは頭が柔らかくなったのか。
くらくらとする視界をどうにか集中して定め、シェバは考えた。ほかに言うことはないのかだとか、部下をあまり心配させるんじゃないとか、肝臓は大丈夫なのかだとか、わざわざ特権を使ってまでこちらに来る気なのかだとか。
しばしの沈黙ののち、はたと気がつく。彼は、実績も、といったのだ。何かほかに理由があるのか。


「わたしである必要性がほかにもあるの?」


元相棒、そしてすぐにまた相棒に復帰する生真面目な男は、珍しく少し言葉に詰まった。少しの間、迷うような沈黙の後、意を決したように男は言った。


「君には才能がある」


彼の言う才能とは何なのか、やはりシェバにはわからなかった。













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カプコンゲームにおける生き残る才能(最重要)