おでかけは ひとこえかけて かぎかけて

がちゃがちゃと腕に抱えた荷物を目の前に置かれたシエロは、なんだこれ、と置いた男の顔を見上げた。
置いたほうはと言えば、これから向かう空港では当分補給できないと思われるのだから、準備を怠ることはないだろうと何を当然のことを聞くのかいう顔をしてそれに答えた。所持品の整理と、買い足す必要のあるものの整理だ。
俺がやるのかよとシエロが尋ねれば、一番暇な者が手伝うのが道理だろうとのこと。へえへえそうですか。
しかし暇であることには変わりなく、暇であるが故に考えても仕方がないことを考えてしまいそうなので仕方ねえなという態度をとりつつ箱の中に詰まったあれやこれやを並べてみる。
エンブリオンのリーダーとサラはフレッドに何か頼まれどこかに行ってしまったので、部屋はどこまでも静かだった。



「ずーっと思ってたんだけどさ」
「なんだ」
「お前20歳って嘘だろ」
「ジャンクヤードでは精神年齢と肉体年齢が一致していない者が多数存在した。俺も同様だとは考えられるな」
「目に色入る前からじじくせえとは思ってたけど、ここ最近ますますおっさん化してると思う」
「…俺が?」
「お前以外にだれがいるっての」
「なんという」
「傷ついた?」
「泣きそうだ」
「そいつはごめんなさいね」
「心からの謝罪とは思えんな、それは。しかし、お前に年齢について言われるとは予想外だ」
「なんでよ」
「お前は本当に19歳か、シエロ」
「そ、そんな真剣な顔されると自分のこと信じられなくなるからやめて」
「ジャンクヤードのニュービーは平均的に10代後半から20代後半までの肉体年齢で生まれる。たまに例外があるとしても30代後半以降の個体が数体見受けられるだけだ」
「うんうん。で?」
「精神と肉体の年齢に差がある個体は珍しくないということだ」
「だからなによ」
「お前は年齢を誤魔化しているなシエロ」
「ああ、年上のほうに?」
「明らかに幼児方向に」
「なんですと!?」
「傷ついたか」
「傷だらけですよ!」
「それはすまなかった」
「それほんとにごめんなさいと思ってるか?」
「思ってない」
「だろうな!」
「よくぞ見抜いたな。褒めてやろう」
「それ味方の言う台詞じゃねえ!」

















やいのやいのと言い合いながらも買い込んだ道具を整理する手を止めない2人と何時の間にもぐりこんだのかその間でにこにこと笑顔を浮かべるセラを眺めながら、しばらく席をはずしている間に随分冗談が上手くなったなゲイル、とサーフはしみじみと思った。
そして「兄貴はどう思うよ!ゲイルのがおっさんだよなあ」「シエロの知能の低さには目を見張るものがあるだろう」と口々に問われどっちも正解です、という意味を込め肯いて見せた。どっちも正解ですよ、この凸凹コンビめ。









きずついた小話第二弾。
一番長いことついてきてくれるシエロとゲイルの離脱は本当にこの先どうしたらいいのと嘆きました(一瞬の離脱だったんで一安心)