10万とんで3600

で、とアルジラは言った。
ずっと聞きたかったんだけど、あのあとあんたたちフレッドを困らせなかったんでしょうね。
私は最後まであんたたちが心配だったわよと冗談めいた口調で言葉を発すアルジラに、シエロは驚いたように目を丸くしあんたたち?と繰り返した。あんたたちって、俺とゲイルとセラのこと?と尋ねれば、それ以外誰がいるのよと当たり前のように返ってきた。自分はともかくとして(普段叱られていることに自覚はあるのである)、エンブリオンの頭脳と純粋で真面目なセラを捕まえて困らせなかったでしょうねとはこれいかに。地面に膝小僧を抱えて腰を下ろすシエロがすぐ近くの瓦礫のようなものに座る彼女の顔を見上げると、彼女はだってねえと言葉をこぼした。
あんたたちときたらお調子者に天然ボケに鉄面皮じゃないの。ツッコミが圧倒的に足りないじゃない。セラはまあしょうがないわよ、まだ中身は7歳だっていうし。でもゲイルはいざってときしか本領発揮しないし、あんたはあんたでいざってとき間が抜けたことするしもう死んでも気が気じゃなかったわよ。


腕を組んで怒ったような台詞を口にしつつもその表情はどこまでも優しいものであった。本当に心配してくれていたのだろうなあとシエロは思い、しかし感謝なんかを口にしたら最後こう見えて照れ屋の彼女はそれはもう照れて照れてしょうがないことになりそうなので言葉にはしないでおくことにした。そして全く別の台詞を持って返した。


「フレッドを困らすことはしてねえと思うけど、いざって時に間が抜けたことはしたなあ」


だから俺、今ここにいるしな。なんかもうちょっとうまく立ち回ったらもう少し長生きできた気がする。右から飛んできたミサイルを左に避けつつ正面の機体にぶつけてやって振り向きざまにビームでもう1機やればなんとかなったよなあ。ジオダインが上手くぶつかればもう1機いけるっしょ。今やればハイスコア狙えると思うなあ。
でもってひねり加えて3回転半決めればポイントも倍だろ倍、とシエロが笑顔を浮かべ自慢げに言えばだからあんたは馬鹿なのよとアルジラはその頭をはたいた。

















「俺は自分の能力を出し惜しみしているつもりはない。そういったように思われているのは心外だ」

「よう、ブラザー。傷ついた?」

「大いに」


堂々と大真面目な顔で言い切り、見下ろす男。そんなことを言われるとは思ってもいなかったアルジラはぽかんとしてその鉄面皮と評した男を見上げている。その間に挟まれてシエロは思わず噴き出した。お前のいざという時の本領発揮の冗談は分かり辛いんだよ、まったく。










セラリーダーのときのメンバーは想像するだけで大変そうだ。(フレッドが)