エネルギー消費効率について

※4とかZEROとかをごったごたにして好き勝手やった妄想です要注意。















ようやく見つけた地獄の番犬を勤めていた男は、元々の職場であったという小さな靴屋の店番を勤めていた。あの戦争で名前を残さざるをえなかった者たち(同時にその地獄の番犬に手酷く噛み砕かれた者たち)は一人もその消息を掴んでいなかったというのに、無名の整備士の一人がその居場所を知っていたというのは何の因果か皮肉か。記者が手土産を携えて訪ねてみれば大歓迎ということはなかったが、思いのほか好意的に迎えられた。よくまあこんなところまで来たな。金にならない仕事をよくやるよ。
店主らしき老人に許可を得て休憩時間をとった男に、これまで撮りためたインタビューの映像を携帯再生機で見せれば男は表情一つ変えず「こんな顔してたんだな」と呟くように言うだけで特に感想はないようであった。インタビューの最後、片翼の男の映像に入ったところで入り口のドアにつけられたベルが勢いよく鳴らされた。若い男の挨拶が狭い店内に響きわたり、店主の「奥で何やらやってるようだよ」というどこか楽しそうな声が聞こえるや否や一時を置いて勢いよくドアが開かれる。


「こんちは!個人的にお客さんって珍しいっすね!」

「全くだよ。で、何しに来たんだお前は」

「借りてた金返しに来ました!」

「覚えてたとは思わなかったな」

「いやあまさか家に財布置いてくるとは思わないでしょう。あ、これうちのお嫁さんからいつものやつです。今日はクッキーとマドレーヌ。で、で、なんの取材っすか?俺この人の活躍ならいくらでも喋れますよ!この人の秘密言えって言われたら命が惜しくていえないっすけどね!」


淀んでいた空気が一気に入れ替えられるようなからりとした雰囲気を纏う若い男は、笑いながら言った。活躍を知っているということはこの男もまた飛行機乗りだろうか。これはうれしい誤算かもしれないぞとインタビューを試みるべくビデオカメラとマイクの準備をしようとしたところで、若い男が携帯再生機に気がついた。一時停止ボタンを押され、画面の中で動きを止めた妖精と呼ばれた男を見るや否やうわあと声を上げた。悲鳴に近い感動の声であった。


「ピクシー!ガルム2!なんてこった、お元気そうでなによりです」

「確かに元気そうではあるな」

「これは運命かもしれない。やっぱり名前はあんたらから貰わないとだめっすね」


若い男は手を打ち、一方的に口を開いた。曰く、聞いてくれよ兄さん俺のところ今度子供が生まれるんだよ二人目、生まれたら名前はぜひこの人から貰おうと思ってるんだけど絶対ぇ首を縦に振らないんだ減るもんじゃなしいいじゃんか、なぁ?あ、一人目は女の子だったからさ嫁さんと相談してさすがなしってことになったんだけど。



「お前の子供、お前に似ないで可愛いからな。絶対に俺の名前なんかやらないぞ」

「じゃ、やっぱりラリーしかないか…」

「懲りないね、お前も」



殺されかけてもまだ懲りないのかと呆れ顔を通り越し苦笑する男に、問われた男は当たり前でしょうと歯を見せて笑った。
あんたたちは俺の知る最高のエースたちっすからね。
当然のことのように、そして自分のことのように誇らしげに笑うのだ。
そのあまりの笑顔に思わず機器の準備をするのも忘れこれは写真に収めるべきかと記者がしばし悩んでいると、若い男はああいけねえと拳を打った。


「嫁さんに買い物頼まれてたんだった」

「滅多に帰ってこないんだからたまには働け」

「そうそう。家族サービスしないと」

「嫁さんに菓子の礼言っておいてくれ」

「了解。それじゃあまた地獄の番犬殿」

「今度は子供連れてこいよリボン付き。むしろお前は来なくてもいいよ」

「ひっでえの!」


口では訴えながら彼は再び笑顔を作り、それじゃあ兄さんも頑張れよこの人から話を聞き出すのは骨が折れるだろうけどさと記者の背を叩いた。ドアにくくられたベルを鳴らし外の世界へ飛び立っていった若い男を見送り、残されたのは記者と元飛行機乗り。しまった、インタビューし損ねたと記者が悔やんだそのときに頭に浮かぶリボン付き。先の戦争で終戦を導いた立役者。…今聞いてはいけないことを聞いたような気がするのは気のせいか?
それはそれとして、と記者の思考を断ち切るように元飛行機乗りの男は言った。
こいつに会ったら言っておいてくれ。俺に借りた金を早く返しに来い、ついでに手土産ないと許さないってな、と続けた男は口の端に笑みを浮かべていた。一体この男のどこに地獄の番犬となる要素があったのやら、と記者は思った。片田舎の靴屋で店番をする甘いものが好きなただの人間ではないか。しかし戦争を始めるのも終わらせるのもただの人間である。
記者は確約はできないが、努力はするよとその伝言を請け負った。そして、この後あの気のいい若い青年にインタビューしたいんだが紹介してくれないかと続けた。













つまりPJが好きです(結論)
メビウス1はPJじゃないの?説をネットで拝見してからというもの
なるほど→そうかもね→それもいいかも→いや、それしかない!!!!!!!(暴走)と自分の中で結論が出ました。サイファーさんはPJのことをなんだかんだ可愛がっているといいです。