私はベースを投げるぞ

男はなんともいえない奇妙な表情でその集団を見ていた。


たまには顔見せに来てくれ、という少年の言葉を受け、真正直に顔を見せに来た男の視線の先には村の子供達に寄ってたかられる男の姿。その片腕を覆っていたものはもうない。
何でまたそんな変な顔を、と不思議そうに近寄ってきた少年は男の視線の先に子供子供子供子供のような大人子供そしてまた子供子供、という状況を認めああレオンは人気者なんだよとなんでもないように言う。


子供らと同じ思考だからだろう、と男は思ったがわざわざ口に出すこともないだろうとそれに対してそうかと肯くだけにとどめる。しかし奴はああ見えて千年を超える寿命を持つカテナの中でもいい年の大人なのだが、なぜ両手の指で数えられるような年齢の少年少女たちと同列なのだろうかと彼は自分の思考に疑問を抱いた。




お前達がなんでうまくいったのかよくわからないな。

なにが?

あのレオンと、あのアルミラと組めるものは人間はおろかカテナにもそうそういないぞ。




彼らは現役OZ時代からなんとも有名な輩だった。
戦うことに命を賭ける猪突猛進の男。
全てを打算的に考える沈着冷静な女。
彼らをそのようにした神々でさえあれはちょっとやりすぎたよなと手を焼く二人。

…結果的にはあの二人をまとめていたカインが一番危険な男ではあったのだが。




尋ねられた少年は驚いたように目を開き、あの二人ってそんなに昔問題があったの?と尋ね返した。優しい人たちなのに。
その言葉に逆に驚いたのは招かれた男。あの、レオンが?あの神々に上手く操られていたはずだというのにいちいち反抗をして建物と言う建物を破壊したあのレオンが?それでもってアルミラまで?あの沈着冷静を通り越して鉄面皮を装備し、近寄るもの共を嫌味と蹴りをもって全て切り捨てたあのアルミラが?優しいとはいかに。

あの2人を曲がりなりにもまとめられていたカインを改めて心から感心しつつヴィティスが黙りこくったが、少年はそんな様子には気がつかない様子で子供好きに悪い人はいないよねと自らの言葉にうなずきつつ言った。



アルミラはああ見えてあの子達に字とか歴史を教えてるんだよ。教え方上手いし、凄くなつかれてるよ。レオンは…まあ言わなくてもわかるよね。あんな感じ。

そ、そうか。それはまあ、いいことじゃないだろうか。



男が返答に困り適当に返しても少年はそうだよね、と笑った。
カテナも人もなく仲良くやってくのが一番だと思うんだ。あ、そういえばこの間ドロシーがレオンに向かってうっかり「お父さん」なんて呼んじゃって、物凄く恥ずかしがってもだえてたよドロシー。おかしいよね。呼んじゃう気持ちはわかるけどね。



その状況下に彼らの父がいれば、あんなダメ親父のどこがいいんだと涙ながらに訴えるか、それともそれはいいと膝を打って笑うか。男には分からなかった。
分からなかったが、まあこれはこれでよくまとまっているのではないかと納得することにした。
適材適所。あの暑苦しいのと冷徹なのの暴れん坊コンビはこの村で暮らすことが一番あっているのであろう。それはきっとOZをやるよりむいている。
男は静かに考えた。










お、ヴィティスじゃねえか。なにやってんだあ暇人。

OZをやめたらヒマなんだろう。毎日遊んでいるんじゃないか?

あはっはははそうなのお前!?マジ暇人なのな!

やかましいぞ問題児どもめ。










OZ祝に間に合いませんでしたが。
楽しませていただきました!(涙を流しながらOZ祝方面に敬礼)