明彦、話がある。

ああ、どうした?

前置きが必要か?

前置き?なにか難しい話ならしてくれたほうがいいな。

お前と会ってからもう10年だ。

そうだな。

私の駄目なところもお前は知ってるだろう。

なんでもかんでも真面目に考えすぎるところはあると思うが…。まあ、そんなに気にすることじゃないと思うぞ。

私が世間知らずでもお前は根気良く付き合ってくれるだろう。

最近は成長したじゃないか、一人でコンビニに行けるんだぞ?昔に比べれば…どうしたんだそんな泣きそうな顔で。

こういう事態に持ち込むのは最後の手段だと考えていたんだが…もう時間がない。

ん、何か用事か?急いでいるなら別に今度にしてくれても構わないが…。

そ、それじゃ本末転倒じゃないか!どれだけシミュレーションして今日があると思っているんだ馬鹿!

なんだかよくわからないがすまん。俺が悪かった。話を進めてくれ。

いいか、ここに書類がある。

ああ、あるな。

二択だ。

二択?

お前に与えられる選択肢は二つということだ。

なるほど。

私の提案にyesと答えて判を押すか。

うん。

黙って判を押すか。

…は?

どちらか選んでくれ。















…どっち選んでもあんまり変わらないような気がするのは気のせいですかゆかりっち。

気のせいじゃないと思うわ、順平くん。

…追い詰められちゃったんですねえ先輩…。

追い詰められていた。もう後には引けないと思って背水の陣で挑んだ。

…アイギスにアドバイスもらってないでしょうね。

何で分かったんだ。

……で、どうだったんですか?どっち選んだんですか?

答えの前に、何があったか知らないがやけを起こすなよと優しい言葉をかけられた。

う、うわあ。

どうしよう、俺泣きそうだわ。

後でいいから詳しい話を聞かせてくれと。

後でいいんだ真田さん!?後でいいんだ!?

それは優しさ通り越しておかしくないですか!?何でそんなに信頼しちゃってるんですか!?

そ、それで結局…?

黙って判を押したよ。

うわあああ!!!





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