学園祭も近づいているということで、ガーデンの総司令官とその彼女(または世界の誇る魔女とそれに引きずり回される騎士)は激しく暇であった。総司令官という響きからすれば考えられない。
一般生徒たちは学園祭実行委員の元、その準備に追われているかガーデンの修理に追われているかの二択なのである。

総司令官も本当は火の車である会計のやりくりだとか企画にGOサインを出すために判子を押し捲るだとかの仕事をしなくてはならないのだが、それはそれ。彼より向いている優秀なSeeD(若干18にして教員資格をとった件の努力家)が適材適所でその仕事を請け負ってくれたため、彼は正直やることがなかった。

しかし意外とまめな仕事が好きな総司令官がエレベーターに油を刺したり薄紙で薔薇の花を作ったりすることを周囲は許さず、総司令官なんだから偉そうに椅子に座ってるだけでいいんですよ!総司令官これからいろんなところでスピーチとかしなくちゃなんないなんだから基本デスクワークでいいんですよ!だとか彼を退屈に追い込んだ。




基本的に部屋に引きこもっていろといわれたら幾らでもいられる彼であったが、一連の騒動で「申し訳ない」という人を思いやる気持ちを手に入れたものであるからどうにか少しでも役に立ちたい。薄紙工作とかしたい。彼がいい加減ストレスを炸裂させて学内放送で奇声を上げてやろうかと考えていたそこへ乱入してきたのは。



「よーっすスコール?暇?」

「暇そうだねえ」

「よっしゃこれ手伝ってくれよ!」




戦友達が差し出して見せた紙箱の中に大量の(そして作りかけの)薄紙で出来た花が咲いていた。
奇声を上げなくてよかったなあと彼はしみじみ思った。
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