いやしかし最近の騎士見習いくんは大人しいもんですよねえ。何の前ふりもなく突然相手が発した一言で、男は目の前のデザートから視線を上げた。
今の今まで協力攻撃がどうの、という話をしていなかったか。ついでに誰が美人で誰が好みで誰が誰のことを気になっているらしくそこでうまいこと協力したら自分にもチャンスがあったりなんかしてという話を一方的に語りまくっていなかったか。なにがなんだって?
「騎士見習い?」
「竜馬騎士見習いの二人にさっき話しかけられたんですけどね、それがもう丁寧できちんと頭とか下げられちゃって」
「騎士になろうって奴が礼儀がなってなくてどうするんだ」
「いやだって、見習いですよ?みならい。まだやりたい放題できるんですよ?」
「お前は見習いじゃないがやりたい放題じゃないか」
「あっはっはそう見えます?真面目に働いてるんですけどねー」
いやあこれでも丸くなったほうですよ俺。当時はそれはもーやんちゃし放題でしたよー。一緒に見習いだったミアキス殿も貴族出身ってわけじゃないですからね。お城での作法なんてさっぱりですよいやあ楽しかったなあー騎士長閣下になんだかたてつくあいつとかこいつの足元にうまいことバナナ置いたりしてガレオン殿に拳骨くらうんですよねあはははは。軽く笑い飛ばし、今は去る8年ほど前のお話ですねーと締めくくった。
…8年前?
「…今何歳なんだ?」
「俺ですかー?24になりましたけど?」
「ミアキス殿だ」
「22って言ってましたねー。…はっまさか」
「どうした」
「ゲオルグ殿ったらもしかして?気になっちゃったり?こりゃ気合入れて頑張んないと俺」
「8年前って言ったらまだ子供じゃないか」
ああーなんだそこですか、と若き騎士は残念そうに首を振り、そんなこと関係ないですよと笑った。
「ミアキス殿はああ見えて、とんでもなく優秀ですよ。なんてったってあの竜馬騎士になるっていって聞かなくて、でも竜馬騎士って女性禁制だからなれなくて、だけど実力だけはとんでもなくてクレイグ殿の手にも余ったもんだからフェリド様に頼んだっていういわくつきの逸材ですから。ああ見えて凄まじくおっかないですからね本気モードの彼女。いつもの喋り方なんか嘘みたいに。あ、これここだけの話ですよ俺消されちゃいますからね」
やー面白いですねー女王騎士って奇人変人ばっかりで俺も退屈しませんよ、と笑い飛ばす青年を見て、男は人のこと言えないだろうという言葉をケーキにかぶりつくことで封じ込めた。
個人的に面白いからという理由で採用していたのではないかと、今は亡き親友を思いつつ。
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カイルとミアキスはお互い変人だと思っているに300ポッチ
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